NHK番組改変問題、制作者「左遷」に市民団体が抗議2006年06月01日 22:57

先に(5月26日)発表されたNHK人事異動(6月5日付)で、いわゆる「番組改変問題」において改変された当の番組のチーフ・プロデューサーだった永田浩三氏と担当デスクで内部告発した長井暁氏の両氏を制作現場からはずしたことに対して、「放送を語る会」などの市民団体が400名の署名を添え抗議声明をNHKに提出したという。当然のことだ。すでに事実上の「報復人事」の情報を得た「NHK受信料支払い停止運動の会」は、NHK会長及び理事あてに不当な人事異動を止めるよう求め「緊急の申し入れ」を行っていたが、こうした声は完全に無視された。

「橋本元一・NHK会長は1日の定例記者会見で『資質や才能に適した職場に代わってもらった。報復といわれるものではなく、適切な異動と考えている』と述べた。」という。予め問題を明らかにし、その不当性を指摘した内容について全くその通りに「人事異動」を実行したということはまさに「指摘が完全に正しかった」ことを証明しているといえよう。指摘が正鵠を射たものであったがゆえに「動いた」のであり、そうでなければあえて「動く」選択はしなかっただろうから。それにしても今回の「報復人事異動」は時間的に直接という意味では、3月末に参院で自民党の代議士が「人事の上での処分」を求めたことが契機となったという意味合いがあるだけに、NHKにたいする政治の不当介入という点できわめて深刻な問題ととらえなければなるまい。

折から、竹中の私的懇談会「通信・放送懇談会」が最終報告書を出し、経営のスリム化(チャネル削減)に焦点を絞りつつ、公共放送であることにポイントを置くのではなく、形式的には会計原則に立つという「異議を唱えにくい」形で、より「民営化」の方向へと舵をきろうとしている。BBCとはあきらかに違う方向だ。転機に立つNHK・・。