朝日の新春企画2007年01月03日 22:35

朝日で元日からスタートした企画の1つが「消費者の時代へ」。今日のテーマはサイバースペース上で商品売買を行う「電子商取引」。ネット上の商習慣はまだまだ発展途上に過ぎないので、まずは既成の(現実社会の)法律を厳格に執行することが必要(詐欺なら刑法、誇大広告なら景品表示法etc.)という至極凡庸なことをいっている。唯一目に付いた箇所が、ネットの商売は「参入が簡単なため、プロ意識がない売り手が多い」という指摘。プロと素人の境界が急速に融けつつある、というのは最近いたるところで実感するが、それがインターネットという新しい(まだ“新しい”、といっていい?)メディアの普及とシンクロしているとすれば、そのメカニズムとはいかなるものかを読み解くことは結構面白いのではなかろうか。

この企画。元日は小林武史が登場していた。いわずと知れたミスチルやサザンのプロデューサー。こちらはインパクトがあった。なぜかといえば、小林は地球温暖化や環境に関心を持ち、それが消費者意識や消費現場と密接につながることを見通しているように思われるからだ。しかも小林がこうした問題意識を抱いたのは「9.11」があったからというのも興味を呼ぶ。「資本主義のランドマークタワーが崩れ落ちたあの事件をきっかけに、社会のあり方を勉強し、自分でもできることはしていかなければ、と思うようになった」という。“対テロ”と発想した圧倒的多数派とは違ったスタンスは注目されていい。

具体的には何をしているか、といえば、坂本龍一や桜井和寿と3人で資金を拠出し―桑田佳祐なんかはその気はまったくないのだろう―、非営利組織「ap bank」(ap=artists’ power)を設立。省エネ関連や自然エネルギー志向などの環境関連のプロジェクトに低利融資(金利1%)を始めたとのこと。昨年ノーベル平和賞を受賞した貧困層を対象にした低金利・無担保融資を行う“貧者の銀行”を連想するような試みといえばよいか。

金利1%は、1億円貸しても年に100万円の金利収入しかないことを意味する。つまり金融(資金融通)といっても、どこまでも膨張し続ける昨今の金融経済とは異質なところがいい・・。