喩としての「お客さん」2007年04月22日 21:09

最近はまったく聞かなくなった感じがするが、昔は普通の感覚とは違った 意味で「お客さん」という言い方が日常的に使われていたように思う。 「ああ、あのお客さんのことね・・」という風に。この場合、当の人物は 世間とつながっていないというニュアンスがこめられていた。世間と つながっていないというのは「一人前の人として認めていない」とい うことにほかならなかった。要するにいわゆる「差別語」。

どうしてこのような記憶が表面に出てきたかといえば、今朝の日経(9面 ・医療)に「『お客様』がご来院!」というのを見つけたからである。 今や医療機関は玄関で“患者”を迎える「医療コンシェルジェ」と呼ぶ 人員を配置し、「お客様、本日はどのようなことでお見えになられましたか?」 というような応対をさせるようになったことが紹介されている。 「患者さん」とは決して言わず「お客様」というのだそうな。「米国流の サービス方式」を取り入れた―グローバリゼーション!―とのことだが、医とはすなわち 算術(ビジネス)なり、を露骨にしめしているという意味で、つまりむしろ 「人を人とみず、営利の対象としてしか扱わない」という点でかつての 「お客さん」という言い回しと底はおんなじという気がする・・。