カンヌ映画祭は非「商業主義」?2007年06月04日 21:50

カンヌ国際映画祭で審査員特別大賞「グランプリ」 を得た「殯の森」。 まだ見てもいない映画なのだが、ここ1週間何かと話題になっているの でちょっと気になってきた。今朝のNHKテレビ(総合)では、監督の河瀬直美へのインタビュー を流していた。そのなかで、河瀬は、主役を演じた、うだしげきを 「俳優」に仕立てていったプロセスについて語っていた。 主役の設定は「33年前に妻をなくし、妻の思い出 とともに生きてきた認知症を患う男性」。本職は奈良の喫茶店店主の映画は初出演である うだしげきに3ヶ月の間、 実際にグループホームにはりついてもらったという。認知症の人はどんな動きや 表情をするのか、人の働きかけに対してどんな反応をするのか等について じっくりと“身につけて”もらったとのこと。プロの俳優だったら3ヶ月もの 長期間、そのような“ムダ”をこなしてはくれなかっただろうという指摘が非常 に印象的だった。「商業主義より作家性、にウェイトをおいた『カンヌ映画祭』」 (河北新報朝刊15面)と響きあっている、と言えそうだからである。暴力や犯罪 をテーマとしたアメリカ映画よりも、「生死という人間の根源的テーマ」を評価 したということらしいし、最高賞(パルムドール)を受賞したのが、共産党政権 末期の首都ブカレストを舞台とする、女性の人権を問いかけたルーマニア映画(同上) だったというのも映画祭のポリシーを感じさせるように思う。

とはいえ、今回日本からは あの「商業主義の権化」のようなフジテレビが、キムタクやシンゴを現地に派遣しつつ、 大々的にプロモーションを展開したらしいから、映画祭の今後にはあまり期待しないのが よいのかもしれない。アメリカ型自由競争社会を是とするサルコジをいただきはじめた フランスのなかで、カンヌだけがその流れから自由であり続けられることもないだろうとも 思われるしね。

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