横尾忠則の「デザイン廃業宣言」 ― 2007年06月07日 10:47
横尾忠則が
「デザイン廃業宣言」した(YOKOO'S VISION 6月1日付)。
いわゆる商業美術を“卒業”し、純粋美術(ファインアート)に純化す
ることにしたようだ。江戸時代に現れたいわゆる‘隠居’の身分で、より自
由に生きる、ということらしい。最近は、社会の構図そのものを反映し
て、純粋美術か商業美術か、でなやむアーティストにはめったにお目に
かかれなくなったが、さすが1930年代生まれの“世界の横尾”。貧しい
時代を知っているだけあって、あるいはビンボーではなく貧乏を身をもって
体験した世代だけあって、《表現》が、利得や営利とは違う次元で品性をたもつ
ことへの思い入れは確固としている。20歳の時、企業からの制約や条件に縛られる
グラフィックデザイナーとしての仕事を始めた横尾。もちろんグラフィック
デザインと並行して独自の自由奔放な《表現》の世界をもち続けてきた。
しかし古稀を迎えてグラデにけりをつけたということなのだろう。
唐十郎率いる状況劇場が演じた
『腰巻お仙』のポスター(1966年)を目にした
ときの衝撃が総天然色でありありと浮かんでくる。アングラ劇のすさまじい
力を教えてくれたあのポスターはまさに沖天の勢いそのものだった・・。
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