6月15日2007年06月15日 22:52

大学4年のゼミは、全員が揃うことはめったにない。就活で忙しくゼミなんてやっている ヒマはないのである。それでも今年は内定者がけっこう出ている、という点で、超氷河期と いわれた一頃とはだいぶ様変わりしている。しかし、内定が出ればあとは卒論に専念か というとそうではない。内定を出した企業が、あれこれと理由をつけて内定者を拘束す るからである。日本の企業は、10月1日一斉に内定式をやり、この日は大学でゼミがあろ うが、講義があろうが、それとは無関係に大学4年生を“拉致”する問題を以前 エントリーした が、大学の教育を “シカト”するのは内定式ばかりではなくなって、常態化 してきているのである。

こう書くと、いかにも企業がまるで強権を発動しまくっ ているかのようにイメージされるかもしれないが、今朝の朝日(生活面)によると、採用 が内定した学生の親向けに会社見学会を開いたり、社長が内定者の家庭を訪問したり、と いうのが増えているとのこと。その背景にあるのが、内定辞退の理由として最近増えている 「親の反対」。大学の教育はシカトしつつ、内定辞退の発生は恐れる というのがいまの企業。そして内定辞退に深く関与するのが「親」という構図。だったら「親」は、 企業が大学教育をシカトすることをなじるような態度を示すのか、といえば、それは皆無である。 まことに奇妙なことである。わが子が、十全な大学教育を受けることははなから 期待していない。文系でも私大であれば4年間で5百万はかかろうというものである。しかし、 それに見合うだけの内容が与えられたか、それと等価といってよい成果は見られるのか という点には親たちはきわめて無頓着なのである。これだけ市場原理万能主義のご時勢のなかで ここだけは非市場原理の基準がむくむくとあたまをもたげる不可思議。「意味 の無い内定者の動員は、教育をうける機会をうばう暴挙である!」というのが、親たちの 口から出てもよさそうなのに、決してそんなことはない。大学教育は、企業からも、親たちから も「期待するもの」ではなくなったということである。もちろん学生たち自身も同様だ。

いまから47年前のきょう(1960年6月15日)、全学連に結集した学生は日米安保条約粉砕に向けた 果敢な行動を展開した。その数、労働者や市民をあわせ全国6百万。