姫岡玲治,参上?2007年10月02日 22:31

姫岡玲治は知る人ぞ知る60年安保の仕掛け人。生田浩二とともに「ブント」を牽引した。『民主主義的言辞による資本主義への忠勤--国家独占資本主義段階における改良主義批判』は,姫岡理論そのものであり,「ブント」の理論的支柱そのものであった。いわゆる大内国独資論(大内力国家独占資本主義論)は,実は姫岡国独資論にほかならない,というまことしやかな伝説ももつ。

姫岡玲治が,安保後に数理経済学を志し,スタンフォード大と京都大学を舞台に華々しい研究生活を送ってきた青木昌彦その人と知る者はさほど多くはない・・。

青木は,いまではノーベル経済学賞に最も近い日本人経済学者といわれているが,それは研究領域が単なる数理経済学というのではなく「比較制度分析」へと飛翔したことが大きく与っている。

その青木の「私の履歴書」が,昨日から日経ではじまった。数理経済学では飽きたらず,「経済や政治の制度」に加え「社会規範や文化」が一体となった制度様式へと目を向けることになった「赤い糸」が,巣鴨プリズンでの独房生活を含む「学生運動」だったというのが第1回めの昨日の話。市場経済の普遍原理だけではこの世が成り立たないことが身体化されていたということを想像させる。革命組織に「ブント」と名づけたのは自分だったというのがきょうの最後の部分。ノーベル経済学賞は,実はノーベル財団ではなく,スウェーデン国立銀行が仕切っている。だからか,どうかはわからないが,高度な政治的判断で受賞者が決まるともいわれてきた。だから,もし青木が受賞するようなことがあれば,それは世界の政治の流れがとりあえず変わったことを示すということになる・・。

コメント

_ とら仙人 ― 2007年10月10日 17:23

先日から掲載の始まった青木昌彦の私の履歴書を読みながら50年前の諸々のことに思いを馳せつつWebを渡り歩いているうちに貴殿のブログサイトに辿り着いた次第

たまたま小生の故郷で教鞭を執っておられる学究人と知り、また、院にそのまま進んだのであれば後輩かも?などと思ったりして・・・

小生が選択を間違えた(?)-あくまで自己責任ですが-生き方に大きな影響を及ぼした「姫岡玲治」が、今や著名な経済学者として功成り名を遂げて、日経の「私の履歴書」欄の書き手として現れていることに感慨一入です

彼とは同い歳、たしか学年は彼が一年上ですが、20歳そこそこの頃の彼の周辺の人々から受けた知的刺激のショックの大きさは、50年もの年月を経ても鮮明です。この歳になって振り返ると、プチブル・インテリゲンティア達の知的ゲームへの皮相的な憧憬に翻弄されたようなものでしたが、東北の片田舎の小市民的擬似インテリの小生にとって、姫岡・生田・山口(佐伯)・廣松など、また、違った意味で島や唐牛など、まさに畏敬の人間でした

いつまでも心の何処かで若気の思いを引き摺って情けなく生きて来た小生などとは違い、またたく間に己の哲学を超克して新たな道-社会科学・哲学・数学等を究め、その道で名を成す卓抜した頭脳の持ち主達にはまさに脱帽です

_ Spindletree ― 2007年10月10日 17:57

とら仙人さん,はじめまして。ようこそお出でかけくださいました。コメントをお寄せいただきまして有難うございます。どうも大先輩のようで,恐縮に存じます。実は初日の青木の文章が,2日目以後のリズムとちょっと違っていたように思い,それが何を意味するのかと思っておりました・・。いかがでしょうか?

>プチブル・インテリゲンティア達の知的ゲームへの皮相的な憧憬に翻弄されたようなもの
「知的ゲーム」を披露しておきながら,それに飽きるや,それぞれに固有の世界へと飛び立ってしまった彼ら,と思われますが,廣松はもちろん,青木も実は「ゲーム」を忘れたわけではなかったのではないかと思っております。そこが西部邁や香山健一などとは差異化されるところではないか,と。

>いつまでも心の何処かで若気の思いを引き摺って
私は,いろとりどりのいささか硬い帽子が街頭を乱舞した世代に属しておりますが,「心の何処かで」というよりも,いまだに“心の正面で”「引き摺って」今に到っております(笑)。
 また何かの折に,おでかけいただければ嬉しく思います。

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