金融危機,学生の反応は?2008年09月22日 21:47

かつては,皮肉が通用していた。授業の際に意識して話したことが,つまり挑発が,幾人かの学生の反撥を呼び,結果,むしろ学生の〈知の欲求〉を引き出すことに成功するということがあった。ここ1週間のことで言えば,リーマン・ブラザーズの破綻とかFRBがAIG救済のために巨額の融資をしたといったことについての,次のような言い方がそうである。「リーマンの破綻は,世界の金融の世界で,いったい何が生じているの?世界経済はどうなるの?わたしたちの生活にはどんな関係があるの?」と「大学の経済学部学生であれば周りの人に尋ねられるんじゃない?」その時,「それはこういうことだと思う,となにげに話せればカッコいいよね?」と。これが結構なるほどというレポートに結びついたりしていた。

時期的には,ブラックマンデー(1987年),日本のバブル経済(1986年~91年),アジア通貨危機(1997年),山一證券の破綻(1997年)あたりまでは通用していたのである。意地悪い言い方が,反撥されてプラスに向かう・・。これが1998年のLTCMの破綻あたりから空気が変わった。わずか1年の違いだが,世紀交替,ミレニアムなどが話題になった頃からそうではなくなったのである。そして21世紀に入るや,その傾向が強まった。ということで今回である。まったくのすれ違い。反応ナシ。

いや,正確に言えば反応はあった。予定の話に入る前に,リーマン・ブラザーズの件を20分ほど話をしたところ,講義が終わるや男子学生が質問にきたからである。いわく。「冒頭に話された金融恐慌の話は,Webのどこに書いてあるのですか?」。己に似せて人を語る,と言う。今どきの学生はネットからコピーし,それをペーストすることで課題を果たす。教師もまた同じだと思っているらしい。