Two Lost Decades?(平成すでに20年)2009年01月08日 22:36

平成という区切りの始まりがちょうど20年前の今日である。現在の大学1年生と早生まれの2年生は平成生まれである。日本で育ったのであれば,彼らは基本的にLost Decadeと「その延長上」の経済社会を知るのみである。「その延長上」というのは,景気拡大が2002年2月以降“いざなぎ越え”とよばれるまでに継続したではないか,という反論を見越してのことである。その期間,GDPが増大したという意味では「景気拡大」だったが,周知のように,例えば勤労者所得はむしろ減少した。加えて,税金と社会保険料負担はいわば間断なく増大した。酒税法の「改正」(03年度・06年度),配偶者特別控除の廃止(04年度),老年者控除の廃止(06年度),定率減税の半減(06年度),厚生年金保険料(05年~)と健康保険料(08年度)の引き上げ,など具体例はそれこそ枚挙に遑がない。勤労者は「入るを量りて出づるを制す」の逆の境遇を強いられてきた。だからLost Decadeと「その延長上」と言っていいのである。平成生まれの若者たちは,こうした社会環境のもとで育ってきたということになる。

ところで,平成生まれの若者たち,という観点からみると,彼らはモノゴゴコロがついた時にはインターネットがあり,ケイタイが当たり前のコミュニケーション・トゥールとしてあった世代でもある。ここが面白い。

高度経済成長の〈現実と神話〉のなかで,テレビという20世紀最大のメディアの普及とともに十代を過ごした世代が,実はこの3~40年間,ネオリベラリズムに依拠した経済社会を担ぎ,Lost Decadeと「その延長上」の状況を生み出してきたのはまぎれもない事実であるからである。これに対して,まさにLost Decadeと「その延長上」の環境のなかで,インターネットとケイタイで育った現今の若い世代は,明らかに先行する世代とは違った行動原理を身につけているに違いない。結局は,ネオリベを受け容れ,それを体現する経済社会の形成と展開をささえた世代のようにはならないだろうと考えたいとも思う・・。それにしても,なんと鬱々たる状況にしずむ1月8日なのだろうか。

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