現代版“世間の眼”2009年04月10日 21:31

河北の朝刊に
「生協サイト閲覧規制 『反体制的団体』に分類」の
記事
が載った。
全国の生協が開設している
ホームページ(HP)など,
生協関連のウェブサイトが,
セキュリティーソフト(トレンドマイクロ社のウィルスバスター2009)により,
有害サイトとしてアクセスが規制され,
閲覧できなくなっているというのがその内容。
アクセス規制の理由は,
生協サイトが
「活動家グループ/反体制的団体」の運営による
という意味で“有害”だからとのこと。
同ソフトの,
有害サイト規制機能を
〈有効〉に設定した場合に,
規制がかかるということだが,
実際に試してみると現時点では,
サクッと入れるようである。
のみならず,『反体制的団体』とみなされるだろう(;^_^A
いくつかの団体・組織のサイトも問題ない。
もちろん,生協側は弁護士に相談したとあるし,
トレンドマイクロ社も
「製品に何らかのミスがあると思われる。早急に原因を調べ、対策を講じたい」と
事態を認めているというから
事実関係ははっきりしているのだろう。

そうだとして,
たちまちいくつかの問題点が浮かぶ。
まずは,
今回の事態は,昨年成立した「有害サイト規制法」に
連動していると疑われること。
国は,何が有害かの判断はせず,
第三者機関にゆだねるとしたものの,
何を持って有害と断じるのかは
あいまいのままである。
今回は,第三者機関の判断という次元でもなく,
トレンドマイクロの独断が
適用されたという事態である。
こわい話しである。

わが国では,昔から
“世間の眼”が幅を利かせてきた。
「あの人はこれだってね」と
頬にバツを書くとか,
「あのおにいさんはアカだから近づいちゃだめよ」とか・・。
これが現代ではセキュリティソフトが,
その働きを果たす。
セキュリティソフトが,
現代版“世間の眼”となったのである。

生協を『反体制的団体』とみなしたという問題もある。
生活協同組合は,
メンバー(組合員)の出資金によって運営され,
本来,利潤動機をもたない
非営利団体である。
だから,
利潤動機を核とする資本主義を
相対化する性格をもつといっていい。
しかし,いまや売上至上主義
とでもいうべき傾向を強めているというのが実感である。
例えば,
大学生協の書籍部は,
そうとうひどいことになっている。
コミックこそあまり目立たないが,
雑誌,文庫本が書棚の多くを占領し,
専門書のコーナーも,
反体制を謳う書籍のコーナーも
実にひっそりとしたものである。
まことに残念なことである。
いまでは,
どうみても『反体制的団体』の要素はカケラもない。
ウィキペディアによれば(^^ゞ 
この国では
人口のほぼ半分が
生協のメンバー(組合員)なのだそうだ。
ご存じだっただろうか?