受験生への「大学図書館」の開放2009年08月22日 22:13

勤務先の図書館に
「受験生の皆さんへ(夏休み大学図書館開放)」
という〈お知らせ〉が出ている。
夏季休暇中,図書館を(というより閲覧室を)
受験生に開放するようになって3,4年が経つ。
長期休暇の期間,
「受験生」に図書館を開放する大学が増えて,
そのバスに乗り遅れまじ,と始めた。
利用する受験生には,概ね好評のようであるが,
その数は高がしれているのが実態らしい。
土日は閉館で,
いわゆるお盆期間も使えず,
利用できるのは夏季休暇の間の,
わずか11日に過ぎないからであろう。

他がやっているからとか,
大学のイメージアップになるだろうとか,
あわよくば受験してもらえるのでは,
といった打算だけで試みているのが
見え透いているからといってもよい。

ところで,
受験生への大学図書館の開放というのを,
受験生の「自習空間」という観点から眺めてみると
別の問題が見えてくる。

最近ではファミリーレストランが「勉強全面禁止」を謳い
公立図書館が
持ち込み資料だけによる自習の規制
をはじめているからである。

まず「受験勉強」と「勉強」の区別があり,
自習空間としてのファミレス,公立図書館から
「受験勉強する者」が排除され,
ついでファミレスから
「勉強する者一般」が
締め出される流れが出来上がった。
ファミレスというビジネス空間にとっては,
ランチや安いドリンクで
長時間居座る者は,
受験生だろうが,読書人だろうが,
ひとしなみに「勉強組」として
回転を阻害しつつ,
営利の妨げとなる以外の何ものでもないのである。
ファミレスなる空間を
公共空間と見誤ってはならないと,
ファミレスは主張しているのである。

しかるに,公立図書館の存在は大きい。
そこでは「勉強」に
「受験勉強」と「非受験勉強」がある
というような認識は捨てるべきだし,
さしあたり
「持ち込み資料だけ」で「勉強」しつつ,
図書館の蔵書へと拡張する遊び
を受け入れるのが当然であろう。

大学の図書館もまたしかりである。
受験生にカイホウすると同時に,
大学図書館自体が
「打算」からカイホウされねばならないのである・・。