「プチ思想ブーム」でもいいじゃないか2009年09月26日 21:58

朝日に「プチ思想ブーム」の記事。
思想関連の本が
結構売れているとか,
30代に論客が出現とか,
昔風にいえば「学習会」が出来たり,
という現象をとりあげた企画。
ただし,内容は『超訳「資本論」』だったり,
光文社古典新訳文庫(文芸分野では誤訳問題で炎上?している・・)
のカント,ニーチェ,トロツキーだったり,
ということのようである。
古典新訳文庫は,
原典だから一応「思想関連の本」を
名乗ってもいいだろうが,
超訳などはどうだろう。
まあ,そこがプチ思想ブーム,
というユエンなのだろう。
あくまでも軽いノリとしての思想書・・。
その意味で,記事の中に
「思想メディアが読者の悩みや関心を聞いてあげる,
そういうサービスが欠かせなくなった時代の結果」
だと解説しているところがポイントか。

いまは,思想メディアから読者に接近するのであって,
読者がある種の覚悟をもって古典に向かう,
のではなくなったのである。
とはいえ,
あくまでもソフトで,
甘く仕上げられていようと,
これに近づこうとする欲があるだけ
よしとすべきなのかもしれない。

先日,学生(たち)に,
輪読を想定して
ある本の購入を促す際,
「大学生協にまとめて注文しておくので,ころあいを見て買ってね」
と言ったら,
多くの学生がとても怪訝な,
なんとも評し難い表情を
示したからである。

「なんで生協なんすか。どこで買っても同じじゃないっすか」。
「本屋が違えば本も違うわけでないから,もちろんそうだ。
でもね,生協で買えば割引があるでしょ」。
「生協の組合員であれば
割引てくれるらしいっすが,
おれたち組合はいっていないっす。
割引の対象は本とCDくらいだし・・。
本なんて買わないし,
音楽はネットからゲットでOKっすから」。
「おいおい,本は買わないって・・」
と言いかけたが,
無駄なことだとやめた。

これまで,本を出す時に,
大学生協価格(1割引)で
3千円未満がネライ目と考え,
いかにその線に持っていくのかに
悪戦苦闘してきた。
こっちがばかだった・・。
テキは,「プチ」以前なのである。