プロ気取りの瀰漫2010年10月14日 21:43

ある医師が,ラジオで,
ネット関連の困った問題を話していた。
最近,ネットであれこれ「調べてから」
診察に来る患者が増えているというのである。
自分の症状が,どの「病」に当たるのか,
「決めた上で」現れるのだという。

病名,治療法,その治療で名の知られた医師名
などを諳んじて来るというのである。
これがなかなか厄介で,
プロの医師を困惑させるらしい。
当然,彼ら/彼女たちは,
ネット情報を正確に理解できているわけではない。

そこで次のように対応することにしたらしい。
「あなたが○○だと診断した根拠は?」と訊き,
それへの「自信に満ちた」回答に対しては,
何らそれを裏づけるものはないことを伝え,
医学生が現に使っている教科書(医学書)の
該当箇所を示す,ということにしたのだそうだ。
それで,ようやく
彼ら/彼女たちは,目の前にいるのが
プロの医師であること,自分の「診断」が
的確ではないことを悟るのだそうだ。

実にリアリティのある話である。
ネット情報を鵜呑みにし,
半可通な知識をふりまわす例は
ゴロゴロ溢れているからである。

しかし,それは同時に
fake professional(偽プロ)の瀰漫と
セットなのだと知る。
そしていま,偽プロの瀰漫が,
ネットの普及ともリンクしている。

The Shallows:What the Internet Is Doing to
Our Brains(by N.G.Carr)が,このあたりのことを
剔抉している。良書である。
が,翻訳は『ネット・バカ』。
ひたすら営業だけを優先したのだろう。
ちょっと惜しいし,残念である。
読者を『バカ』にした感は否めない。
ここでも,プロの編集者はいなかった?のか・・。




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