二人の「隆」,軍配は?2010年01月21日 19:14

いわゆる小沢「疑惑」問題。
その真相は,むろんわたしたち一般市民には判らない。
だから,「小沢VS検察」の帰趨に関心がない,ということはないが,
むしろこのガチンコ対決が喚起しはじめたいろんなものが面白い。

ネットが,小沢「派」とでもいうべき色あいが強いのに対して,
旧メディア,とりわけ大新聞はもっぱら反小沢,つまり検察「派」
に立っている。もちろん大新聞は,記者クラブメディアだから,
記者クラブメディアVS「独立」メディアなる構図も発生している。

一貫して記者クラブ批判を展開してきた,「独立」メディア系の
上杉隆は,「検察の狂気」を書いている(発行中の『週刊朝日』)。
検察に操られた記者クラブメディアが,盛んに小沢本人の違法性を
問うているものの,政治資金規正法は秘書の犯した違反であり,
「一連の出来事を『犯罪捜査』だと考えるから真実が見えにく
くなる。これは,人事と既得権を死守しようとする検察=記者
クラブメディア連合体と小沢の『権力闘争』なのである」と喝破する。

他方,もともと「独立」メディア系に属していると見做せる立花隆は,
「疑惑」は,政治資金規正法問題としての土地取引問題といった
「ケチな話」で終わるものではなく「背景はもっともっと大きい」と言い,
検察の動きに蓋然性を見ている(河北新報や中国新聞に掲載された特別寄稿)。
つまり,小沢の公共工事を利用しての「天の声」による利権分配構造は,
田中角栄,金丸信がやっていたこととそっくりであり,小沢の行く末は
田中や金丸と同じではないか,と推測しているのである。
端的に言えば検察の動きに理を見出しているのである。
立花は,その根拠を,小沢の元秘書で逮捕された石川議員の元秘書が
(ややこしいね),実は間諜(スパイ)で,
それゆえ「疑惑」のなかみは検察がよく把握していることに求めている。

上杉は,20年にわたり小沢取材を続けてきた政治記者の話として
「小沢が徹底した法治主義者であり,法律を熟知した上で事を運ぶ政治家」
というのを紹介している。

つまり,小沢は,師と仰いだ田中角栄や金丸信から,
検察との対峙のなかで田中や金丸と同じ道をたどる
ようなDNAを受け継いだと見るのが立花隆であり,

小沢は二人の師の所業をいわばテクストとして教訓化
したとみるのが上杉隆である。

さてさて,どっちの「隆」が的を射ていることになるのか・・。