「期日前投票」と今なお残る「不在者投票」2009年08月28日 15:40

TVで,どこかの政党の党首が,
不在者投票をしたと言っていた。
一瞬,期日前投票じゃないのと思ったが,
これは当方が無知だっただけのことだった。

5,6年前の公職選挙法の改正により,
それまでの「不在者投票制度」が,
「期日前投票制度」に変わった,
とばかり思っていた。
これが正確ではなかった。

記憶では,
かつての「不在者投票」というのは,
けっこう面倒だった。
指定の場所に行く。
不在者投票をする理由を述べ,
宣誓書に記載する。
投票用紙に書き入れ,
それを内封筒に入れ,
さらに外封筒に入れて,
名前を書いた上で,
選挙管理人に差し出す,
というようなことだった。
それが,おそらく開票日に開封されて,
票の「山」に合体されていたのだろう・・。

法の改正により,
煩瑣な手続が省略される格好となって,
呼称も「期日前投票」と変わった,
とばかり思っていた。
が,ちょっと違った。
基本的には,「期日前」でも,
わずらわしい手続がなくなり,
投票用紙を
直接投票箱に投じられるようになったが,
他方で「不在者投票」も存続している。
選挙人名簿登録地以外の場所での不在者投票
というのがそれ。
こちらは,手続が予め必要だったり,
内封筒と外封筒といったハードルがまだあるらしい。
「郵便等による不在者投票」というのもあるが,
これもけっこう簡単
というわけではなそうである。
と,いうようなことをあらためて,
今回知った。

「投票日までに20歳となり,選挙日当日は投票所に行け(か)ない人」は,
「期日前投票」は
できないということも知った。
この場合は,
手続がめんどうな
「不在者投票」となるのだそうだ。

「郵便等による不在者投票」
で認められている
「代理記載制度」は,例えば
「介護保険の被保険者証に要介護状態区分が『要介護5』と記載されている」
場合は,その対象とはならない,
というのも知った。

勉強になった・・。
同時に,
こうした制度を生み出した
“背景”も見えてきた。

工業米というミステリー2008年09月09日 22:01

米(コメ)は,人間の食糧となるばかりでなく,飼料用に供せられるというのは常識である。しかし“工業米”なるものがあることを知っている者はそう多くはないのではないか。大阪の「三笠フーズ」という米穀加工販売会社が、工業用限定のコメ(工業米)を食用として転売していたことが明るみに出た。今回の報道を前提とする限り,工業米というのは,水没したり,基準値を超える残留農薬(冷凍餃子でその存在が知れ渡ったメタミドホス)やカビが検出されたため、食糧用としては使えず,工業用としてその使用を限定されたコメを指すようである。いいかえれば,事故米がすなわち工業米ということのようだ。

で,今回のことでよくわからないのは,例えば事故米が,輸入米だったということ。一方で減反政策を採りつつ,ミニマムアクセス米と称してコメを輸入していることが前提としてある。ミニマムアクセスについては,これを輸入義務と見る政府とあくまでも輸入枠の存在を言っているにすぎないとする見解が対立してきた。したがってコメの輸入を義務ととらえる政府に対するプレッシャーが奈辺から発しているのかが,まず問われるが,このことは次のような指摘が重要な意味をもつことを示唆する。すなわち「農水省は三笠フーズの不正を告発するタレコミなどを受け,04年度からの5年間で96回も工場の立ち入り調査を実施したにもかかわらず,転売の事実をまったく見抜けなかった」(日刊ゲンダイ 9/10号 本日発売)という指摘である。要するに立ち入り調査はすべて予告した上で行われ,抜き打ちの形はとらなかった事実が露見したというわけである。

工業米=事故米が,食用米として使われた事例として,まず焼酎が挙げられたが,今日になって日本酒(熊本の酒)にも広がりはじめた。これに煎餅やあられ,米粉を原料とする様々な食品も次々と含まれることになるのだろうか。

もちろん,そもそも工業米そのものの問題もある。工業米は,例えば工業用糊の原料となっているというからである。工業用の糊というのは,牛乳やジュースの紙パックに使用される糊であり,ヨーグルトやゼリー,プリンのふたを貼り付ける糊であり,切手の糊として使われているという。なんのことはない。ヒトの口に入る点では,それほどの違いはないのである。切手を貼るとき思いっきりなめちゃうひとって結構いるんじゃないですか?・・。

年金問題とプロの目2007年12月13日 11:32

プロ校。原稿書きにはなじみのジャーゴンである。初校ゲラに朱を入れて戻す。ややあって再校ゲラが届く。現在では,このあたりでほぼ最終の形となる。これがいわゆるプロ校にかけられて,ギリギリ吟味される。むしろ,執筆者本人では見落としてしまう誤り等がここで訂正される。プロフェッショナルの校正業が不可欠である所以である。

昨日の朝日の投稿欄(「私の視点」)に,校正業に携わっているプロがいわゆる年金問題について提案している。「支払った年金がもらえない」異常事態を解消するにはどうすればいいのか。プロ校から見た方策は,データ(紙台帳の記録)を別のデータ(コンピュータの記録)に移す際に発生すると考えられる誤りをまず網羅することから始まる。このプロの目を活用すれば,納付者の確定は飛躍的に増やせるはずとのこと。さすがにプロである。しかも,これはあくまでも校正者の視点からのアイデアであって,他の様々なプロの目と技をもってすれば問題はかなり解消するだろうとも指摘している。

もちろん,そのためには厚労省が「データの項目や修復作業の工程など」について情報開示をし,広く方策を世に問うことが不可欠である。

ここ数日,舛添や町村は完全に開き直った。しかも,一部の報道が煽るように,そしてこれはこれで正解にちがいないが,舛添が辞任すれば済むようなことでもない。厚労省/社保庁にプロが不在だとすれば社会がフォローするしかない、という問題なのである。公(おおやけ)もここまでガタが来たという話なのである。しかも,今年の世相を表す漢字が「偽」になったことからはっきりしているように,民間にゆだねることもできない,という問題でもある。「社会がフォローするしかない」というほかないのである。

いずれ公僕はGPS(全地球測位システム)の監視下に?2007年11月03日 23:45

昨日の新聞(朝日・政治面)に「GPSで秘密行動させぬ」という小さな記事があった。防衛相・石波が,前事務次官の在任中の無断?休日ゴルフを教訓化し、防衛省幹部は居場所を明らかにすべし、と主張しつつ、GPS機能付ケイタイ所持の義務化をはかるという内容。 “軍事オタク”というのが石波の異名のようだが、まさにそれを証明する話とみられる。ピンポイント攻撃の威力に篭絡されてしまった軍事オタクといえばいいか。石波は「行動が把握されるのが嫌だったら、そんな人は防衛省にいなくていい」とも言ったようだ。そのうち、広く公衆に奉仕する者、つまり公僕たるものは、常に居場所がわかるようにしておくのが当たり前、ということになりかねない。個体識別技術の進化はとどまるところを知らない。例えば、今年の『情報通信白書』のテーマは「ユビキタスネットワーク」だから、あながち荒唐無稽な予断というわけではあるまい。生物、無生物を問わずあまねく(ubiquitous)存在するものに固体識別のタグを取り付け、ネットワークで連結する、これがユビキタスネットワーキングにほかならないからである。