岩国市の住民投票、「表」と「裏」と「本来の貌(すがた)」2006年03月13日 10:51

米空母艦載機の岩国基地への移転計画の賛否を問う岩国市(山口県)の住民投票の結果が出た。投票率は58.6%。移転反対が87%(43,433票)で有権者数の半数を超えた。賛成はわずか5,369票だった。米軍再編に関わる案件で、住民(市民)が初めて直接反対意思を示した形となった。政府は、住民投票は法的・制度的拘束力を持たないということを理由に、あくまでも昨秋日米の政府間で作成された「厚木基地の米空母艦載機の岩国移転」を是とする「中間報告」を「最終報告」とする意向を示した。これに対し岩国市長は、住民投票の結果を「重く受け止め、移転案の撤回を求めたい」との態度を明らかにした。これが “今回の住民投票にまつわる「表」の貌”だと思われる。ところが、朝日新聞(朝刊・13版・2面)には「反対ドミノ 政府警戒」という見出しの記事がある。住民投票は拘束力をもたないものの、「普天間」問題などに〈影響力〉が拡散することを、実は政府が恐れ始めたことを伝える記事だ。しかも注目すべきなのは、この記事の中見出しに「市長の真意 いぶかる声」とあることだ。現市長は、「01年末、ハワイから岩国への大型輸送ヘリ部隊の移転に慎重姿勢を変えなかったが、翌年になって移転を容認したことがある」という過去をもつことを指摘している。要するに新市庁舎建設に「国の補助金がついた」ということだ。市長は「今から(受け入れに)手を挙げて甘く見られたら、(もらえるものも)あまりもらえない」と考えていることを暴露している。何のことはない、地域振興策と引き換えに「移転」を受け入れるという賛成派と根っこは同じ、ということだ。つまり当たり前だが、政府も、市長も「裏」の貌ももっているということだ。しかし、もちろん最も肝心な点は「住民(市民)によって示された意志」であることは言うまでもない。国策(といっても論理的にきちんとした説明がなされているわけでは全くない)と地域意志との対立をどう解決するのか。大前提になっているのはもちろん日米安保。たんなる地域住民のエゴ、と一蹴されかねないこの問題を、いっそこの際、「米軍再編問題」一点に絞って「国民投票」でも実施したらどうか。「郵政民営化」の時のように・・(苦笑)。成熟した市民としての意思表示(本来の貌)が示されるかも、と期待したい。なお、WebではAsahi.comに関連記事。