経営者支配の「逆襲」?―村上ファンド問題2006年06月05日 19:18

村上ファンドの村上世彰が逮捕された。 証券取引法違反(インサイダー取引に該当)という。村上自ら解説している。要するに「ライブドアによる株式取得の意向は、証券取引法167 条、同法施行令31 条に規定するインサイダー情報としての5%以上の株式買い集め行為についての決定であると解釈される」ということだ。

日経のサイト(ブロードバンド・ニュース)に掲載されている村上の記者会見(謝罪会見)では、証券取引に関するプロ中のプロである自分が「罪を犯そうとしたわけではなかったが」、ニッポン放送の株取得に関するライブドアの幹部のいうことを物理的に「聞いてしまった」ことは事実であり、したがって法を犯したのはその通りだと主張している。その際、ライブドアの宮内が「やりましょうよ」とばたっと手をついて「お願いしますよ」と村上に訴えたというくだりは、本人も言うようにすごくビジュアルでリアルだ。

M&Aコンサルティング(通称村上ファンド)は、いわゆる「株主価値の向上」を主張の最大のポイントにおいてこの間ビジネスを展開してきた。それはまるで株式会社の支配権は経営者にあるのではなく、あくまでも「株主=所有者」にこそあるというのが眼目だったことをうかがわせる主張と行動だった。その意味において、村上世彰逮捕は「経営者」による権力奪還と、読み解くと何かが見えてきそうな気がするが、どうだろうか。

東京地検特捜部の真のネライを特定するのは難しいが、例えばホリエモンではなく村上世彰こそが陥落すべき対象だったとするならば、90日以上完全黙秘状態で耐えたホリエモンの姿は、村上にとっては最初から非を認めるのが得策と思わせる決め手であったというべきことを想像させる。とまれ、先週刊行された、山口重克「『企業統治』と所有と経営の分離」(『アソシエ21 ニューズレター』2006年5月号、アソシエ21)が、この問題を考えるという意味で、ちょうどいいタイミングとなった。一読をお薦めする。

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