「忘れられた科学」に注目した朝日社説2006年06月13日 09:00

本日の朝日新聞の社説。「忘れられた科学」と題された「数学に関する」シンポジウムをモチーフにした議論。それこそ昇降機(エレベータ)の制御から、通信、暗号、金融などあらゆる社会の領域で必要とされる「数学的知」。しかし、この国では往時の状況とはちがっていまでは、「その基盤の層が薄く、研究実績にもかげりが見えてきたというので」憂いざるをえないというわけだ。

文科省の科学技術政策研究所によれば、近時「数学的な方法をさまざまな分野に生かすことに立ち遅れている」。研究レベルでは、バイオ、新素材、情報通信の分野などでそうであり、ビジネスでも半導体メーカーにおける回路設計、誤差の厳格な制御などで見られるという。医療の世界でも例えば治療法の効果を確める大規模な臨床実験において統計学が不可欠だが、これがきわめて手薄に なっているとも。

問題は、もちろんこうした現実をもたらした背景は何かということにある。「社説」はいう。「目に見える成果を求めて重点的に投資するやり方に、地味な数学がはじき飛ばされてしまった」からだと。そして「数学の理論は、何十年もたってから応用の道が開ける場合も多い。木の幹にあたる基礎的な研究をしっかり育てる必要がある」と正論を述べている。しかし、この「社 説」の射程はここまでで果てている。地味な研究、学問は何も「数学」に限らない。目の前の成果だけで判断される弊害は「数学」だけに現れているわけではない。「社説」は、まるで短期的利益を声高に主張する「株主の眼」のようなものが瀰漫しているいまの現実を撃ってこそ意味を持つ。ま、無理だろうな・・。

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