脱「記号消費」?2006年10月24日 08:58

日経の朝刊(14版 企業‐1面)に、トヨタの小型車「オーリス」発売の記事があった。 ウリは2つ。低燃費と走行性。トヨタは、人気車、ヴィッツと同じカテゴリィに位置づ けているようだ。ユーザーの小型車志向を意識した戦略車なのだろう。“軽高登低”と いう用語をご存じだろうか。最近のクルマ市場の動向を表わしたものだ。軽自動車の 販売の急増と登録車の販売低迷を意味する。昨日発売された『Forbes』12月号に、大都市圏 で軽が大幅に売れていることが載っている。神奈川、愛知、東京で目立つという(前年比 で1,2位は北海道と群馬で、以下これらの順)。

背景の1つには、もちろん所得格差の拡大がある。しかし、この動きの背後にはヨリ根本的な何かがあるように思う。それはクルマに対するスタンス、価値観の変化の問題。かつて1980年代に、ポストモダン的状況が話題に なるなか、記号消費が大いに注目された。その典型として語られたのがクルマ。空間移動 という有用的効果を得るためのクルマではなく、ユーザーセンスを衒示するツールとしての クルマが前面に躍り出たのであった。消費の対象は「記号(性)」に転じたのだと。こう した時代の流れのなかで、糸井重里をはじめとしたコピーライターが一世を風靡した。

それが大きく変化し始めているのかもしれない。少なくとも身の回りにいる学生たち もいまやクルマに対する関心は驚くほどない。仮にあったとしても、それは空間移動のた めの手段という観点からのものになっている。原点に戻ったかのようだ。あるいは衒示的 消費をこなすのはごく一部の(例えば高額所得層といった)者に限られるという状況にいわ ば先祖がえりしたというべきなのだろうか・・。消費のあり方も大きく動いている。

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