食品偽装、ポスト「期限偽装」は・・?2007年11月15日 22:14

朝日(夕刊)の「素粒子」。「船場吉兆の期限偽装は上からの指示と従業員の会見。そりゃそうだろう。パートが勝手にやるか」とある。

まあ、パートだから勝手にやった、という解釈もできなくもない。失うものはない者の強みで、とでもいえばいいか。もちろんパートという非正規社員は「現代」の申し子であり、かつてであれば“鉄鎖”以外に失うものをもたない存在ということになる。それはともあれ、パートはそこまではやらない。パートは、偽装することについてのインセンティブをもたないからである。ごまかしてまで売上げを伸ばす経済的合理性とつながっているわけでもないし、そもそもそんなことをする意味を感じる立場にいないからである。「上」からやってきた命令に、「ん、なことやるのぉ?」「ったく!」と思いつつ、ただ淡々と従ったまでのことであろう。おそらく期限偽装ばかりではなく、本来オモテに出してはならない種々の(悪)知恵は、当該のビジネスに精通した「上」の者にしてはじめて思いつくと考えたほうが正解である。

同じ夕刊の別のページには、「白い恋人 製造再開」の小さな記事がある。3ヶ月ぶりとのこと。特約店のすべてが、取り扱いの再開に同意したという。新しい社長は「二度と消費者を裏切らない体制をつくった」と胸をはった?らしい。おそらく「賞味期限の改ざん」「期限偽装」では、もう消費者を裏切らない、と見ておくのが正しい解釈であろう。

最近、毎日のように新聞の社会面の片隅に「お詫びとお知らせ」や「お詫びと回収のおしらせ」が載る。人知れずというかひっそりというか、そんな風情で。競争原理に棲む企業は、ウラの世界ないしヤミの世界と一体の構造から免れない。その意味で『近代ヤクザ肯定論』宮崎学 は非常に示唆に富む。市場原理を構成している企業のオモテとウラが結局はループ上にあることを示していると読み取れるからである。

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