「大学ブランド力ランキング」という“無謀”?2007年11月28日 21:37

「これも世相だな,時代なのだな」と解釈するよりも,民度とか社会の質の問題ととらえた方が合点がいく類のことだと思う。「大学ブランド力ランキング」を見ての感想。紹介記事はきょうの「日経MJ」に載っている。要するに「マーケティング」の観点から大学をつかもうという企画の話である。

昔,教育にたずさわることは,聖職に就くことにほかならないというようなことがマジで主張されたことがあった。むろん,その頃も今も,教育機関は,大学や大学院を含めて,ビジネスの論理でウンヨウされており,したがって教職は教育サービス(業)に従事することと同義である。教育機関にとって,生徒や学生は諸々の納付金を持ち込んでくれるたんなるマスでしかない。彼ら,彼女たちは,経営体として成り立つ財政的基盤を支える限りで意味をもつに過ぎないのである。ただし,もし在学生や卒業生の中に,広く名が知られるような者が出れば,そこではじめて歓迎すべき対象となる。学内にいる誰よりもはるかに丁重な扱いを受ける存在へと高められることになるのである。

だから,大学をブランド力がいかほどか,という観点から位置づける試みがなされたとしても全く驚くに価しない。紹介されている「ランキング」は,進学希望者や企業の採用担当者に,「入学意向度」「採用意向度」「推奨意向度」「好意度」という指標をめぐってアンケートした結果という。その意味では,「現在の世相」をそのまま反映しているとみて良いだろう。とくに,関西地区において,前回一人勝ちだった関西学院大学が今回順位を大きく下げたが,それは他大学では新学部設立など目だった動きが見られるのに,関学ではその種の企画がなかったから,と「解説」されているくだりは,まさに「現在の世相」の質が奈辺にあるのかをよく教えてくれる。目先を変える,めくらましをはかる,モデルチェンジを行うことの威力といえばいいか。教育機関は,“学”とか“教え”とか“真理”などの内実をともなう場であるかどうかは,「現在の世相」では,とりあえずどうでもよいことなのである。

冒頭に「民度とか社会の質の問題」と書いたユエンである。

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