《味噌ラーメン》と《朝日ジャーナル》2009年04月21日 20:42

1970年代の初め,
札幌を郷関とする味噌ラーメンが,
東北にもお目見えした。
その時の軽~いカルチャーショック。
いまも記憶の片すみに棲む。
何軒かの店のなかに風格すら漂う店が一つあった。
もちろん麺は西山麺。
赤味噌がベースとなった
濃厚なつゆ。
軽く炒めたもやしと
チャーシュー,メンマによる演出。
だが,しかし,1980年代の半ば,
店は忽然と姿を消す。
味噌ラーメンを食べても
味噌ラーメンではない時期が,
しばらく続いた。
味の記憶が封印され,
巷の味噌ラーメンが
味噌ラーメンとなった或る日。

時は,21世紀。

かの味が復活した。
かつてのレシピを,
そのまま完全復元。
材料も昔のママ。
場所は違えど屋号も同じ。
そして,結果は・・。
当方の,かの味の記憶は独り歩きし,
まるで遠くまで行ってしまっていた。
その間,
埋め込まれた現代の味噌ラーメンの心象が
ノスタルジーを一蹴した。


先週,『朝日ジャーナル』が《怒りの復活》を遂げた。
取りあえず1回だけ,
という企画で。
しかし,これが,
どうも,味噌ラーメンとおんなじ印象である。
「右手に『ジャーナル』,左手に『マガジン』」の
〈対〉の構図が
欠如しているからなのか。
今回の編集長の訴え,
〈「知的虚栄心」や「知の復権」を〉が
そもそも現実とすれちがっているからなのか。
登場するなかで,
いまなお光彩・精彩を放っているのが,
1922年生まれの鶴見俊輔
だからなのか。

ただ,かつての1頁5段組が,
「怒りの復活」では4段組。
この編集“レシピ”の違いは大きい。
文字の大きさがまことに心地よいからである(笑)。