“ピラミッド校舎”考2008年01月20日 09:06

昨日の読売(夕刊)の「よみうり寸評」。学習院大学の「ピラミッド校舎」が、老朽化のため取り壊されることを伝えている。一般にも公開して「お別れイベント」が行われたとも。とはいえ、このコラムが注目するのは専ら「ピラ校」の宇宙的テーストである。かつてウルトラマンセブンの撮影舞台となったことを前面に押し出して懐古しているのである。

しかし、「ピラ校」が、撮影舞台になったというのであれば、わたしたちの世代からすれば何といっても「日本春歌考」が、まずはまっ先に浮かぶ。1960年代も後半に入った時代の雰囲気を色濃く打ち出した作品。監督大島渚。脚本は大島に加えて田村孟、佐々木守、田島敏男という、その後を知る者からすれば、すごい布陣が担当していた。映画の冒頭、前橋から上京して、受験する高校生が出てくる。荒木一郎を含む受験生それぞれがいっぺんに4,5本のくわえタバコをするのが「ピラミッド校舎」前なのである。東京にしては珍しく積雪があった日に撮影されたのか、雪景色のグラウンド。「ピラ校」脇の雪の上に夥しい数のタバコの吸殻が乱雑に増えていくシーンが非常に印象的だった。

春歌=被抑圧人民の真の声、という言説がリアリティをもっていた時代の話である。伊丹一三(十三となるのはだいぶ後)が存在感を示していたのも懐かしい。