採用氷河期2008年02月29日 22:06

(A)前々回,前回とつづめていえば「学生の質の低下」のことを書いた。実態はいわば底抜け状態のようなことになっている。これは,ほぼどの大学にも見られるという点で深刻な現象である。もちろん共時的に見れば,凸凹が見られるし,ひどい学生は一部に過ぎないというところもある。しかし,通時的に見れば,つまりそれぞれの大学の昔と比べれば,どこにおいても全般的に「傾向的低落」を示しているのも否定できない。

(B)企業による採用活動がはやくもヒートアップしているようである。ここでいう「採用活動」はもちろん、来年(2009年)の春に卒業する学生を対象としたもの。つまり現時点ではまだ大学3年生相手の活動である。景気拡大が続くといっても,例えばGDPの対前年比がわずかにプラスという意味でのそれであり,好調な業績は一部の大企業に限られ,むしろ先行きについては不透明感(こういう便利なジャーゴンがあるんだな・・)が広がるなかで,各企業の採用への意欲がすこぶる旺盛だというのである。大阪のある企業の採用担当者によれば「バブル崩壊後は就職氷河期といわれたが,今は採用氷河期」とのこと(日経朝刊・東北経済B)。だから少しでも多くの学生に内定を出すという傾向がある,ということになるらしい。

(A)の内容と(B)の内容を合体させたら,どんな事態となるのかと想像してみよう・・。ね,すごいでしょ!。ホントはデフレスパイラルって,このことを指すに違いないと思うほどである。

むかし昔の「天ぷら学生」や「ピーマン学生」。それでも何とかなったのはちゃんとカラクリがあったからである。例えば,暗黙知というスグレもの。例えば,適当だったり,いい加減だったりという奥の手。最後には辻褄があうようになっていた!

それが現在は「偽装大学生」。これを辻褄があうようにする?ん,なことは困難である。形式知オンリーの〈知〉の組立てをあらためるとか,「知識の記憶」偏重というやる気の失せるやり方,その場しのぎの手法を転換することとか,そんなことができればね,ということなのだから。

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