大学生の「自己紹介」2008年04月23日 22:33

新年度の講義が始まって,各コマが2巡した。新たに迎えた3年のゼミ生には全員に持ち時間5分の自己紹介をしてもらった。全教員が担当する新入生向けの「総合演習」と呼ぶ大学入門科目では一人の持ち時間を3分とした。名前,出身地,趣味などを挙げて20秒もかからずにおしまいという自己紹介ではまことに味気ない。だから,学生にとっては長く感じられるだろう5分の自己紹介を設定したのだが,これは実はこの7,8年試みてきたことなのである。それぞれの“身体”に埋めこまれているせいぜい20秒足らずの自己紹介という常識を超えて,どんなふうに「自分」を表現するのかを聞きたいからである。1週間前に通知した上での実施,というのは今回も同じ。

過去,このやり方で記憶に鮮明に残った自己紹介をしたのはわずかに二人。一人は,中国語で自己紹介をして,なぜ中国語なのかを,2年間その習得に苦労したさまざまなエピソードを交えて話をした女子学生。もう一人は,順番がまわってきたら,いきなり部屋を出て行き,5,6秒後別のドアから入って来るなり,廊下で何か音がしなかったかと訊ねつつ,もう一回廊下に出て,みんながつられて部屋の外に出たのを確認するや,トンボを切って自己紹介の導入にした男の子。

そして,今年。3年生と1年生に,やや印象に残る学生がそれぞれ1名という状況であった。なぜ「印象」に残ったのかといえば,他の学生とは明らかに言動が異なっていたからである。ブルデューのいうハビトゥスの領域といったらいいだろうか・・。片や日頃付き合っている政治家の言説を解説して見せ,片や「ロシア文学」に傾倒しているのを告白するといった感じであった。

で,他の学生は,といえば,「スポーツ」「音楽」「バイト」の3点セットについて披露するというのが共通するパタンであった。とくにこのところ目立つのが,中・高と「スポーツ」にいかに打ち込んできたのかの説明に“全知全霊!!”を傾け,そこに自らのアイデンティティを確認するというのが圧倒的に多いということである。「スポーツ」をやってきたワレ,だから認めてね,というのである。いつ「スポーツ至上主義」がこれほどまでに浸透したのだろうか?

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://g-village.asablo.jp/blog/2008/04/23/3273148/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。