「梅原龍三郎 ルノワール伝説の真実」2006年07月09日 23:34

きょうの『新日曜美術館』(NHK教育)は、「梅原龍三郎 ルノワール伝説の真実」。梅原といえばルノワール、というのが決まり文句となってきた。 梅原本人が、それを種々の文章に書いてきたからだ。20歳で初めて渡仏。フランス到着の翌日訪れた美術館でのルノワール作品との衝撃的出会い。そしてルノワールの弟子となり、云々、と。

それが、実は梅原の脚色によるものだったというのが、この番組。梅原の曾孫がこれまで知られていなかった梅原の滞仏日記から割り出した。端的に言えば、20歳でフランスに留学したということは、例えば東京美術学校を出たというようなキャリアをもたずに彼の地にとぶことだった。このまさに何もなく、頼りになるのはおのれの才だけという状況が、ルノワールを師とした日本人画家、というイメージを必要とした、というのがさわり。事実に基づきつつも脚色された物語へというわけだ。当時のフランスの様子を知りたいと願う“白樺派”の面々との交流もこの観点から読み解けるだろう、と。“白樺派”の〈宣伝〉もあって、画家梅原の名が知られるようになり、梅原本人は日本に戻るときに、これからは演劇人として立つ、とひそかに決意していたものの、すでに画家梅原で通っていたから、やむなく?絵の道にとどまった、というくだりも面白い。初めて知った。「色彩の画家」「色彩の魔術師」ルノワールが、梅原について「君は色をもっている」と見抜いたエピソードも色を添える・・。