高額納税者番付 ― 2005年05月21日 12:10
16日(2005年5月16日)に、国税庁が2004年度の高額納税者の番付を発表した。史上初めてサラリーマンがトップになった。もちろん現代資本主義を象徴する「金融業」のサラリーマンだ。具体的には、”タワー投資顧問”の運用部長という。納税額37億円から推測すると、年間所得は100億円とも。フツー(って何かはさしあたり問わずに使うが)のサラリーマンの平均的な生涯賃金所得は2~3億円といわれる。つまり、かの運用部長は、たった1年間で、フツーのサラリーマンが一生働いて手にする収入の30倍以上を得たことになる。汗水たらして働く、額に汗して働く、それで年収が500万円前後。それに対して、一瞬のオペレーションで億単位の成功報酬が自分のものになる現代経済の「マジック」。この「マジック」という現象を規定する本質を剔抉せねば、と意気込もうとするのだが、そのパトスはどこから得ればよいのだろう。
高額納税者番付-その2 ― 2005年05月25日 10:12
04年度高額納税者番付について、もう1つ。上位100人の内訳を見ると最も多い業種は「健康・美容」関係の17人。ついで「パチンコ産業」12人、「IT企業(起業家)」7人、「金融」6人などとなっている。先の記事に「一瞬のオペレーションで億単位の成功報酬が自分のものになる現代経済の”マジック”云々」と書いたが、業種別という視点から見るとまた別の現代経済の貌が浮かび上がってくる。「健康・美容」というキーワード。馬場宏二*は現代資本主義の特徴の1つを「過剰富裕化」と規定した。そのメルクマールは、1人当たりのGDPが5000ドル(1982年の米ドル換算値)に達する②自動車の大衆化――世帯数の過半が乗用車を持つ③エンゲル係数が30%を切る、の三点セットである。食べることはすなわち栄養供給過剰や過食を意味し、先進諸国における「ダイエットとジョギング」こそ、過剰富裕の「決定的な証拠」だとも。つまり「健康・美容」がキーワードになるというわけである。これも村上春樹風に「う~む」というべき事柄であろう。片や飢餓に苦しむ膨大な数の人々、片や食べては意識的に排出する(摂取したカロリーを人為的に費消する)人たち。これは現代経済のマジックというよりも”ミステリー”とでも呼ぶべき現象なのだと思う。「過剰」ということの意味、歴史的意味を考えてみたい。(つづく)
*馬場宏二[1989],「過剰効率社会というとらえ方」(『社会科学研究』東京大学社会科学研究所、第40巻第6号)
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