「熊本産馬刺し」と「熊本馬さし」。2008年10月31日 21:48

「熊本産馬刺し」と「熊本馬さし」。この違い,おわかりになるだろうか?前者は,熊本で生まれかつ肥育された馬の刺し身であり,後者は,県外から連れてきて熊本で4ヶ月以上肥育した馬の刺し身とのこと。苦肉の策だったのだろう。今朝の朝日の朝刊(社会面)に載った「熊本産馬刺し偽装」で初めて知った。

同記事によれば「馬刺しは熊本の名物だが,06年度に熊本県で食肉処理された7870頭のうち熊本生まれは100~200頭に過ぎない」というから驚きである。ではいったい,生まれはどこの馬なのか?これがカナダ(6割)と北海道(4割弱)とのこと。これには苦笑いするほかない。と,いうのも,熊本で「馬刺し」に舌鼓をうったばかりだからである。「さすがに『本場もん』は違うね」といいながら,つぎつぎと口に入れたのである。ほどよい霜降り状態に仕上げられた絶品に感動しながら頬ばったのである。此の地や東京と比べれば割安とはいえ,けして大衆的とはいえない値段であることを認識しつつ有難く頂戴したのである。あぁ,それなのに,とは思わないことにしよう。意識の上では「熊本の名品」を味わったのは確かなことだからである。わたしたちは,舌で味を知覚するのではなく,観念で味わい,これを楽しむ存在であることをあらためて認識したからである (;^_^A。

ところが,あらためて確認したところ,わたしたちが食したのは,食肉卸センターの店内だったのだが,あれはどうやら「自社牧場管理で育てた馬」を提供していることがわかった。つまり「舌」はやはり正しく知覚していた,・・・ v(^o^) 。(追記)

九州の食文化2008年10月27日 08:31

とんこつラーメン 発祥の店
九州大で学会(経済理論学会)があり、先週末(24日)福岡にやってきた。ただし、丸2日間は会場にはりついたまま、わずかに夕食を兼ねて中洲に行っただけであった。昨日の学会終了後、いささかの観光を敢行すべく久留米へ。久留米出身の若き友人が、京都での学会を終え、若手研究者とともに合流してくれた。明後日まで九州を案内してもらえることになった。

そこで、昨夜は早速餃子の店へ。いまでは宇都宮など「餃子」を名物とする土地が少なくないが、久留米の餃子もその固有の魅力を確かにもつ、と感じた。形状だけをいえば、かなり小振りで、しかも具に対する皮のボリュームが圧倒的である。だから正直のところ、形状だけで判断すればほとんど期待感は湧いてこないのである。ところが、パリッと焼き上げられた餃子は、いわば点としての具がまことにジューシーな風合いを出していて、その感触が皮全体を包んでいるのである。逸品であった。

その後、地方都市の例に漏れずシャッター通りの感が否めないメインストリートを散策後、とんこつラーメン発祥の店で仕上げた。のれんに「元祖 南京千両」(創業昭和十二年)とあった。秘伝のとんこつスープ、ひかえめのちぢれ麺、きざみ叉焼で仕上げられた「とんこつラーメン」。歴史というよりも物語を感じさせるこれまた名品であった。