『谷川雁セレクション』が刊行されたから・・。2009年05月25日 20:51

『谷川雁セレクション』が出た。
先日新聞広告で知った。
「Ⅰ.工作者の論理と背理」および「Ⅱ. 原点の幻視者」の全2冊。
谷川雁は,
わたくしの中では,
きわめて特異な立ち位置を示す思索者としていまもある。
新と旧の冠を超えた左派の人というイメージである。
いまでは東大全共闘のキャッチコピーとしてのみ知られる
「連帯を求めて孤立を恐れず」は,
その出自はといえば谷川雁であった。
あの当時の学生にとって,
吉本隆明,埴谷雄高と並んで
魅力あふれるテクストの一人が谷川だったから,
あのコピーのコピーライトは谷川雁に属す。
もちろん谷川は,
全共闘という「大衆」に対しては
鋭い「知識人」ではあったが,
コピーライトをふりかざす野暮とは無縁だった。
まさに「工作者」谷川雁だったのである。

ところで,
いまなぜここで谷川雁を持ち出すのか,といえば,
きょうのゼミでの雑談が思い出させたからである。

それはゼミ生のほとんどが,
「東京では働きたくない」,
「東京での生活は考えられない」,
「そもそも東京の大学に行くなんて選択肢は考えてもみなかった」,
「東京は得体の知れない人のあつまり」etc.
と言ったことに関わる。

もはや「東京」は地方の若者を魅了し,
誘引してやまない「中心」
ではなくなった,からである。

かつて谷川雁は,
「あさはこわれやすいがらすだから 東京へゆくな ふるさとを創れ」
と喝破した。
どうしてもこれを思い出すのである。

ここには東京=中心に対する,
地方=周辺の矜持を創り出さんとする意気地があった。
ブラックホールとしての東京に対峙せんとする
地方を生み出す切迫感があった。

しかし,現在。
若者たちはこうした情意から,いっさい解き放たれてある・・。
時代の相なのであろう。

コメント

_ なでしこ ― 2009年05月28日 08:18

お! -- 【此処に来て、初めて食指が動いた「ページ」】 --

先ずは、ご挨拶代わりの -- ご挨拶 -- に ↑ ございます。
以下の コメント熟読を。 しこうして後、感想など! .. 亦!。

_ Spindletree ― 2009年05月29日 08:44

なでしこ さん “遠路”ようこそお出でくださいました。「動いた食指」の感覚に敬意を表します。また,お暇な時にでもお立ち寄り下さい。

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