「振り込め詐欺撲滅月間」2008年10月18日 20:59

警察が,今月大々的キャンペーンを展開している「振り込め詐欺撲滅」。しかし, 1日あたりの被害届出件数,被害金額は,今年8月までの平均値に対して,それぞれマイナス30%,マイナス40%と減少したものの,1日から14日までの半月の間の被害は,621件,7億円にのぼったというから,なかなか根は深い。

いまでは,ほとんどの人がそれらしき仕掛け・来襲をうけた経験をもつのではないだろうか。被害はなかったが,わたしも2度遭遇した。1度目は,10年近く前。いわゆるダイヤルQ2がらみの「振り込め詐欺」だった。「ひと様にはいえないような番号にかけた通信料が6ヶ月も滞納している。明日中に“振り込め”。さもないと後悔することになるぞ」と。「ダイヤルQ2なんて利用したことはない。なにを出鱈目なことを言っている!」と私。「さっき電話にでたのは息子だな。そいつが密かにかけたのだ」というのは相手。「6ヶ月もの間,たった一度の料金請求もなかったのはおかしくないか?」と私。「だから言ってんだろうーが。ひと様に知られたらやばいことになるからわざわざ黙っていてやったのよ。つべこべ言わずに振り込むのか,振り込まねぇーのか」と相手。笑いながら私「ダイヤルQ2は使ったことはないって最初に言っただろ?うちはダイヤルQ2は使わない契約になってる。悪かったな」。「ふざけんな。おぼえてろ」。ガッチャァーンと電話は切れた。

もう1度は,3,4年前。家にいる息子のケイタイから私のケイタイに電話がかかった。「いま,どこ?」「どこって,仕事部屋だよ。なんで?」。「いま,警察から電話が入ってて,お父さんが,若い女性にいたずらして,警察に連行した,って」。「だから仕事部屋だって」。「詐欺か!示談金取ろうってやつだな!」っていいつつ,息子が電話にもどったらすでに切れていた・・。ケイタイというもう一つのコミュニケーション・ツゥールが問題解決に役立った今は昔の話である。

そして,現在。ケイタイを持ってATMまで誘い込まれて被害にあうケースが少なくない。今回,撲滅をめざして,ポリスメンがATMの脇に立った。が,被害をなくすことは結局できない。結果として被害を受けることになる者,の心理に対する想像力が欠如しているからである。促迫され,追い詰められた者の心理は,詐欺師の意識と共振する。捕吏の目をくぐろうとする必死な振る舞いはすでに詐欺師のそれと変わらない。そして,こうした心理に追い詰めるのは,〈虚〉を衝かれるという状況なのである。自分は絶対に「振り込め詐欺」にはあわない,と思っている者こそ被害者になるといわれる。こうした人は,「振り込め詐欺」はこういうものだとよく〈知っている〉人である。〈知っている〉からこそ被害にあう。なぜなら詐欺師は,そうした知識を避ける悪知恵をもつ者の謂いだからである。自分は「振り込め詐欺」を知っている。ああいうやり方,こういう手口。しかし,それらの事例とはまったく違った姿・格好で詐欺はやってくるのである。だから〈虚〉を衝かれるのである。

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_ 私の雑学日記 - 2008年10月19日 21:50

 振り込め詐欺は、今の若者の風潮を映した犯罪ですね。金にさえなれば良い、騙される