隠語の「意味」2006年02月19日 13:33

先日、NHKの番組(「繋がれた明日」3月放映予定)制作に携わった子会社が新宿歌舞伎町ロケの際に、暴力団関係とみなされる企業に「みかじめ料」を払ったとの報道がなされた。「みかじめ料」というのは、○暴が、誰かがあらたに自分の縄張り内で営業を始めようという動きを示した際、それを「認める」代わりに要求する金品をさす。「毎月3日に支払わせるという説や3日以内に支払わなければ、その店を締めあげるという説」があるらしい。ともあれマスメディアには本来表れない性質のいわゆる「隠語」だ。紙面に使うとすれば少なくとも形式的には「用語説明」をつける必要があろう。今回の報道ではそれがなかった。そもそも週刊誌報道を紹介する形で取り上げたものだったからなのか・・。隠語といえば、総選挙時、ホリエモンが自民党幹事長武部の息子に3千万円を振り込むよう指示したとの民主党永田の指摘に、小泉が公の場(国会)で「ガセネタ」と反応したのも異例(?)だった。「ガセネッタ」「シモネッタ」「ウラネッタ」といえば米原万理の世界だが、これはあくまでも彼女の私的表出空間のなかでのことだ。とはいえ、米原の表出空間も含めて、オモテの世界とウラの世界を厳密に分けようとする姿勢が希薄になっている、というか、むしろ意識的にウラの世界に乗り込もう、という傾向が生じているように思われる。「オモテ」と「ウラ」が峻別されつつ、一体になって「世界」(社会、世間と読み替えてもOK)が存立している、という仮説を考えている身からすれば非常に興味を呼ぶ動きだ。小泉の国会という場での「ウラの世界のジャーゴン使用(隠語使用)」は、品のない言葉を「神聖な」国会で使ったからというよりも、政治の世界が「オモテ」と「ウラ」を結ぶ要路、という明かしてはならない事情をあからさまにした、という意味で実は「噴飯もの」というべきなのだろう。