「マニュアル人間」生産装置2006年08月30日 09:22

例えばファミリィレストランなりチェーンの居酒屋に行ったとする。そこでの店員の応対はまさに「マニュアル」そのものだ。ある時、ほとんど客のいないファミレスに一人で入った。四人がけのテーブルに座ろうとしたら、店員は隅 にある二人がけにすわるように促す。がら~んとした空間のなかでいかにも不自然なその対応を糾してみると、要するに「店の応対マニュアル」にしたがった結果と判明した。店員はあくまでも二人がけにこだわったので私は店を出た。それだけのことなのだが、対話を欠き、相互作用を無視した「人と人」の関係。現代を如実に象徴する現象とみていい。

今朝の朝日(13版11ページ 経済面)に「『光』で講義お安く配信」という小さな囲み記事がある。大学受験や国家試験向けの予備校が、光ファイバーを介して講義映像を大学や高校に提供する準備を進めているというのがその内容。とりあえず司法試験、会計士試験、色彩検定などの資格講座や大学受験講座向けを考えているらしい。記事の主眼は、IPマルチチャンネルを使えば、これまでの衛星配信システムを利用するのと比べて費用が半分になることの紹介にあるが、むしろ注目すべきなの次の点にあるのではなかろうか。

インターネットが双方向性を持つメディアと喧伝されているものの、実際には、生きた人間同士のDialectic(弁証法)とは無縁の次元で使われているに過ぎない。したがってデジタルデータをベースとする教材で「勉強する」のはまさにマニュアル人間を生み出すことに ほかならない側面をもつ。マニュアル裁判官とかマニュアル役人というのを想像しただけでもおぞましいが、今後こうした受験対策向けだけではなく普段の講義・授業にもデジタル映像を利用することが増えるだろうからその負の要因を予めテッテ的に洗っておく必要があるのではなかろうか。

この問題、今後もいろいろな角度から考えてみたい・・。

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