入試作業終了 ― 2009年02月07日 21:15
2月に入ってもう7日。入試の作業が完了し,打ち上げも済んだ。
まことに淡々と時が過ぎる1週間であった。
大学にとって「入学試験」が,年間行事のなかでも何か特別な時間というのは「今は昔」となった。
受験生の数が減ったし,気質も変わった。
「おたくのジュケンセイになってやるからなんとかしてね」というのがすごく増えた。
字がキタナイ,まじめに書かない(要求された答えとはおよそかけ離れている),
指定された解答欄を無視するという,採点者挑発型が目立った。
できるのか,できないのか不明というツワモノもいた。
書いてあるところはすべて正解。それ以外は白紙。
ただし記入箇所は全体の半分にも満たない,といった具合。
テキトーにやっても結局はどうにかなるとみなしているのである。
地方の私立大学は,倍率8倍,9倍と出ていても、実は名目3倍で全入,というのが常識だからなのだろう。
以前,勤務していた大学では,採点を進めるなか,正答の可否をめぐって教員同士の激しいバトルが展開されることも珍しくなかった。
受験生はそれなりに真面目であったし,教員も日常(ケ)とは違った得々たる気構えをもっていた(ように思う)。
大学全入時代という状況が,「入試」から非日常(ハレ)の意味合いを一切剥ぎ取ってしまった。
「採点中に教員同士がバトル?ばっかじゃないの」ということになった。
来週の半ばに合格発表がある。Web上ばかりではなく,いまなおリアルの掲示板も出す。
その前で「合格者の胴上げ」が行われる。
地元紙の夕刊やローカル局のニュースには欠かせないシーンであり,アイテムなのである・・。
まことに淡々と時が過ぎる1週間であった。
大学にとって「入学試験」が,年間行事のなかでも何か特別な時間というのは「今は昔」となった。
受験生の数が減ったし,気質も変わった。
「おたくのジュケンセイになってやるからなんとかしてね」というのがすごく増えた。
字がキタナイ,まじめに書かない(要求された答えとはおよそかけ離れている),
指定された解答欄を無視するという,採点者挑発型が目立った。
できるのか,できないのか不明というツワモノもいた。
書いてあるところはすべて正解。それ以外は白紙。
ただし記入箇所は全体の半分にも満たない,といった具合。
テキトーにやっても結局はどうにかなるとみなしているのである。
地方の私立大学は,倍率8倍,9倍と出ていても、実は名目3倍で全入,というのが常識だからなのだろう。
以前,勤務していた大学では,採点を進めるなか,正答の可否をめぐって教員同士の激しいバトルが展開されることも珍しくなかった。
受験生はそれなりに真面目であったし,教員も日常(ケ)とは違った得々たる気構えをもっていた(ように思う)。
大学全入時代という状況が,「入試」から非日常(ハレ)の意味合いを一切剥ぎ取ってしまった。
「採点中に教員同士がバトル?ばっかじゃないの」ということになった。
来週の半ばに合格発表がある。Web上ばかりではなく,いまなおリアルの掲示板も出す。
その前で「合格者の胴上げ」が行われる。
地元紙の夕刊やローカル局のニュースには欠かせないシーンであり,アイテムなのである・・。
世界の注目,山形の紡績会社 ― 2009年02月12日 22:11
オバマの大統領就任式。
パートナーであるミシェル・オバマのドレスが話題を呼んだ。
センスのよさとドレスのデザイナーがキューバ系米国人デザイナー,イザベル・トレドということで,である。
あの黄色のニットカーディガンの原料の糸のことがきょうの「日刊ゲンダイ」に出ている。
製造したのが山形県寒河江市の老舗(佐藤繊維)とある。
興味を惹くのは,国内大手アパレルの下請けだったこの会社,
ご多分に洩れず1980年代から90年代にかけて
構造不況の荒波を経験していることである。
「中国製の激安品に市場を奪われ」
「同業者がバタバタと潰れ」
「スーパーの入口前で露店を開いて食いつなぐ日もあった」という。
それが10年ほど前の,
職人たちの欧州の紡績工場視察で事態が一変。
そこで「オレたちがファッション界をリードしている」
という自信と誇りをもつ
彼の地の職人たちと出会ったというのである。
帰国するや,下請け意識からの脱却がはじまった。
「自分たちがやりたい仕事」
「今までにない糸」作りにのりだした。
そして現在。
「ウリは,加工が難しい天然素材を細く伸ばす技術」
紡績の歴史が息づく欧州でも
「素材1グラムで伸ばせる長さは30メートルほどが限界だが」,
この会社では「その約2倍」までできる。
今回この技術が生きた。
原料の糸を従来の半分以下の細さに仕上げて
モヘアのチクチク感をなくした。
ミシェル・オバマが身に纏ったことで
一挙にブレークしたというわけである。
「世界中の有名ブランドが注目,引き合いが殺到している」。
国際化というタームが説得力をもつ
のはまさにこのような事例なのではないだろうか。
世界じゅうから吸引するだけのものをもつ!
グローバリゼーションが後景に退くかに見えてくる。
ただし,この内容,ネットで検索したら,「山形新聞」では2週間近くも前に記事にしていた (;^_^A
パートナーであるミシェル・オバマのドレスが話題を呼んだ。
センスのよさとドレスのデザイナーがキューバ系米国人デザイナー,イザベル・トレドということで,である。
あの黄色のニットカーディガンの原料の糸のことがきょうの「日刊ゲンダイ」に出ている。
製造したのが山形県寒河江市の老舗(佐藤繊維)とある。
興味を惹くのは,国内大手アパレルの下請けだったこの会社,
ご多分に洩れず1980年代から90年代にかけて
構造不況の荒波を経験していることである。
「中国製の激安品に市場を奪われ」
「同業者がバタバタと潰れ」
「スーパーの入口前で露店を開いて食いつなぐ日もあった」という。
それが10年ほど前の,
職人たちの欧州の紡績工場視察で事態が一変。
そこで「オレたちがファッション界をリードしている」
という自信と誇りをもつ
彼の地の職人たちと出会ったというのである。
帰国するや,下請け意識からの脱却がはじまった。
「自分たちがやりたい仕事」
「今までにない糸」作りにのりだした。
そして現在。
「ウリは,加工が難しい天然素材を細く伸ばす技術」
紡績の歴史が息づく欧州でも
「素材1グラムで伸ばせる長さは30メートルほどが限界だが」,
この会社では「その約2倍」までできる。
今回この技術が生きた。
原料の糸を従来の半分以下の細さに仕上げて
モヘアのチクチク感をなくした。
ミシェル・オバマが身に纏ったことで
一挙にブレークしたというわけである。
「世界中の有名ブランドが注目,引き合いが殺到している」。
国際化というタームが説得力をもつ
のはまさにこのような事例なのではないだろうか。
世界じゅうから吸引するだけのものをもつ!
グローバリゼーションが後景に退くかに見えてくる。
ただし,この内容,ネットで検索したら,「山形新聞」では2週間近くも前に記事にしていた (;^_^A
やがて哀しき,・・品々 ― 2009年02月18日 20:45
百円冷凍食品,韓国旅行,ネットブックPC。
これらが何かお判りになるだろうか?
では,海外オークション,ブランド品レンタルと続けば・・。
それでもまだ見えない?
大容量弁当箱,ワケアリ商品を追加したらどうだろう。
そして,
きわめつけとしては「夜逃げ屋」。
そうなのである。Great Depssion(大不況)でも「売れまくる」商品のリストなのである。
外食や弁当より割安で食べられる百円冷凍食品。
大容量弁当箱も要は外食負担からのエスケープ。海外では即席めんがバカ売れらしい。
円の独歩高を背景とした韓国旅行や海外オークション。
高速無線通信接続への加入契約が購入条件のネットブックPC。そういえば,先日家電量販店で,たった百円というのも見かけた・・。
ブランド品レンタルは,100万円もするような高級ブランド品を一ヶ月10万円(プラス保険料)で「使用権」を得ることとある。
見た目がふぞろいだったり,賞味期限切れだったり,というのがワケアリ商品。
こうして見ると,いずれも売れる理由はそれなりに説得的である。
で,夜逃げ屋。
去年後半から需要が急増しているという。
Depressionのなかで借金が累積し,商いがストップする。
その結果としての夜逃げ。
「弁護士に任せればすべて大丈夫」というのは事の一面でしかなく,
「一旦安全な場所に身を移して,それから法律の専門家を交えて解決を計る」というベターチョイスのためのいわば最後の手(last resort)なのである。
会社を潰すといっても,実は多くのオーナーは「1年くらいは踏ん張る」。
だから,今年は,いよいよもって「夜逃げ屋」の活況がみられるだろうというのである。・・・・
これらが何かお判りになるだろうか?
では,海外オークション,ブランド品レンタルと続けば・・。
それでもまだ見えない?
大容量弁当箱,ワケアリ商品を追加したらどうだろう。
そして,
きわめつけとしては「夜逃げ屋」。
そうなのである。Great Depssion(大不況)でも「売れまくる」商品のリストなのである。
外食や弁当より割安で食べられる百円冷凍食品。
大容量弁当箱も要は外食負担からのエスケープ。海外では即席めんがバカ売れらしい。
円の独歩高を背景とした韓国旅行や海外オークション。
高速無線通信接続への加入契約が購入条件のネットブックPC。そういえば,先日家電量販店で,たった百円というのも見かけた・・。
ブランド品レンタルは,100万円もするような高級ブランド品を一ヶ月10万円(プラス保険料)で「使用権」を得ることとある。
見た目がふぞろいだったり,賞味期限切れだったり,というのがワケアリ商品。
こうして見ると,いずれも売れる理由はそれなりに説得的である。
で,夜逃げ屋。
去年後半から需要が急増しているという。
Depressionのなかで借金が累積し,商いがストップする。
その結果としての夜逃げ。
「弁護士に任せればすべて大丈夫」というのは事の一面でしかなく,
「一旦安全な場所に身を移して,それから法律の専門家を交えて解決を計る」というベターチョイスのためのいわば最後の手(last resort)なのである。
会社を潰すといっても,実は多くのオーナーは「1年くらいは踏ん張る」。
だから,今年は,いよいよもって「夜逃げ屋」の活況がみられるだろうというのである。・・・・
フランスの大学,無期スト突入 ― 2009年02月20日 19:51
この国のメディアでは報道されていないようだが,
"Les universités françaises sont en grève illimitée."
で始まる「国際アピール」が,あるMLで届いた。つまり
「フランスの大学,無期限ストライキに突入。」
と,いうのである。
なぜ,無期限ストライキなのか?
フランス政府が,
これまでフランスの大学を構築してきた制度・慣行を
一変させることを決めたから,である。
一変するにあたっての
政策の依って立つ思想,
それが問題であるが,
想像の通り,
いわゆる「新自由主義」なのである。
大学を「市場志向型モデル」へと再編し,
形式的には自主独立の機関としつつ,
競争の場にさらし,
実は,徹底した政府の監視下におく。
官僚的かつ貨幣増殖至上主義的な決定,ということである。
日本でも疾うに現実となっている,
アメリカ発の動きが,
あの,いまなおラディカルな学生を育てている
フランスに及んだ,のである。
「アピール」は,
世界の大学人(研究者・教育者)よ,団結しよう!
と,結ぶ。
署名を求めているのである。
そこで,署名をした。
署名という行為は,
状況の外部にいる者の行為にほかならない。
こうした署名は,難問を抱える当事者には,
ほとんど意味をもたない。
しかし,同様の状況がこの地でも,
ふりかかっている
ことを再認識する起動力にはなる。
余所事ではないのである。
"Les universités françaises sont en grève illimitée."
で始まる「国際アピール」が,あるMLで届いた。つまり
「フランスの大学,無期限ストライキに突入。」
と,いうのである。
なぜ,無期限ストライキなのか?
フランス政府が,
これまでフランスの大学を構築してきた制度・慣行を
一変させることを決めたから,である。
一変するにあたっての
政策の依って立つ思想,
それが問題であるが,
想像の通り,
いわゆる「新自由主義」なのである。
大学を「市場志向型モデル」へと再編し,
形式的には自主独立の機関としつつ,
競争の場にさらし,
実は,徹底した政府の監視下におく。
官僚的かつ貨幣増殖至上主義的な決定,ということである。
日本でも疾うに現実となっている,
アメリカ発の動きが,
あの,いまなおラディカルな学生を育てている
フランスに及んだ,のである。
「アピール」は,
世界の大学人(研究者・教育者)よ,団結しよう!
と,結ぶ。
署名を求めているのである。
そこで,署名をした。
署名という行為は,
状況の外部にいる者の行為にほかならない。
こうした署名は,難問を抱える当事者には,
ほとんど意味をもたない。
しかし,同様の状況がこの地でも,
ふりかかっている
ことを再認識する起動力にはなる。
余所事ではないのである。
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