「反骨」の「外骨」 ― 2010年07月14日 21:30
朝日「ニッポン人・脈・記」の項があらたまり,
きょう(東京版は昨日の夕刊)から,
「毒に愛嬌あり」が始まった。
テーマは宮武外骨。
その存在は知っていたものの,恥ずかしながら,
詳しいことはまったく不明だった。
反骨精神あふれる,まことのジャーナリスト。
いかなる表現にもおさまらない怪人物だったようである。
記事に,赤瀬川原平が,1960年代後半に,初めて
外骨(の刊行した雑誌)を知ったいきさつが紹介
されている。
「どこか人を食ったようで怪しげだが,レイアウト
も丁寧で,編集センスもよかった」雑誌を古書店で
偶然手に取った話である。
興味がつのったのでWikipediaを引いてみた。
そうすると,外骨というのは17歳の時に幼名を
あらためたので正真正銘の本名だった話とか,
外骨が手がけたもので最も成功した『滑稽新聞』の
モットーなどがわかり,すこぶる面白い。
モットーは『威武に屈せず富貴に淫せず,ユスリ
もやらずハッタリもせず,天下独特の肝癪を経(たていと)とし
色気を緯(よこいと)とす。過激にして愛嬌あり』
だったとある。
今日ジャーナリストは,絶滅危惧種と化してしまったが,
まだ少数でも残存しているのであれば,ぜひこれを読んで
欲しいと思う。
赤瀬川が喝破する。
「権力批判が理屈ではなく,一番根源的な感覚の
ところで行われている」「すごい人がいたもんだ」。
権力に対する根源的な批判!
いまの権力批判は,もっぱら市場原理の砦から行われる
それでしかない。
わたしたちは「根源的批判」の意味と重さを知らね
ばならないのである。外骨の「反骨」を学ばねばなら
ないのである。
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