いまの日本の財政機能2006年12月21日 16:58

1971年、参議院予算委員会で佐藤栄作(当時首相)に向かって「あんたは財界の男めかけ」と迷(?)セリフをはいた青島幸男が 亡くなった。昨日、2007年度予算の財務省原案が内示されたが、青島のこの品を欠くセリフは、35年経った現在にこそ似つかわ しいのかも知れない。省庁に内示された原案は“そんだけのもの”だからだ。

財政が、所得再分配機能を限りなく喪失し、市場原理・競争原理を増幅する方向にのみ向かっているのが鮮明になっているからだ。企業の業績回復が急ピッチに進んでいるが、それはいわゆるリストラの徹底に よってもたらされているのであり、正規雇用の削減や賃金の圧縮が前景化するなかで生み出されている。いま施されている財政は、こうした 現実を追認し、その後押しをはかるものでしかない。

企業減税を約束する一方で、所得税の定率減税を廃止し、年金 保険料を引き上げ、かつ持ち家に住む高齢者に対する生活保護支給を縮小するとともに生活保護の母子家庭加算を段階的に廃止する。他方では、 教育については、全国一斉学力テストの導入をめざし、出産・育児(少子化対策)も、先にふれた雇用環境を前提とする就労支援という形でお茶を濁す。競争に負けるな、市場がもつ“暴力”に耐えよとのメッセージがこうして“生き生きと”伝わってくる。小さな 政府をキャッチコピーとしつつ、社会編成そのものは「市場」にゆだねる。市場の旗振りの中心はもちろん“財界”。だから先の迷セリフは、むしろ・・・ということになる。