半導体と液晶とヤモリと・・2007年12月17日 20:47

電気伝導率について,導体と絶縁体の中間的な性質をもつ物質が「半導体」。高温になると伝導率が高くなるというような物質。薄型テレビを代表する1つが液晶テレビだが,液晶というのは「液体結晶」のことで,やはり温度の変化に応じて液体と結晶(固体)の何れの性質ももつ。ここまでは,知っていたが,世界で最初に(1888年)液晶を発見したのが,オーストリア・ハンガリー帝国のライニツァーという植物学者だったというのは今日初めて知った(日経新聞)。このコラムによれば,1963年にアメリカのRCAの研究者が,電気信号によって液晶の屈折率(光の通り方)が変化し,したがってテレビ画面の表示に使えるのではと思い立ち,さらにこれを実用段階に引き上げたのがシャープの研究者だったとのこと。2つの性質をもつ物質であれば,光の通り方(屈折率)も違うはずと推測し,これがついには液晶テレビにまでなってしまう。理系の研究者に対して尊敬の念を覚えるのはこうしたエピソードを読んだ瞬間にほかならない。

だから,例えば,ヤモリが天井を歩ける謎(ナノの世界のメカニズム)を解明して,結局,接着剤を使わずに接着という構造を具体的な形にしてみせた研究などについ引き込まれてしまうのは当然である( 『ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー』)。

理系の本といえば,以前ここで話題にした福岡伸一が,今年もいい〈知〉の手本を著わした。〈学〉に関わる感受性というのを示していて実に説得的。

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