「海賊」と「純金ゲゲゲの鬼太郎金貨」2009年06月10日 15:51

先週の土曜日,本山美彦氏(世界経済論)
の話しを聴く機会があった。
基本は「世界恐慌」のことだったが,
ソマリアに言及した箇所も強く印象に残った。
グローバルな広がりで凶暴化している「金融権力」が,
多くの国々を破綻させている現状を
取り上げたところに出てきた。
「いまどき,なぜ海賊なの?」の謎解きでもあった。

概略はこうである。
ソマリアは,軍事戦略的な要衝に位置する。
インド洋―紅海―スエズ運河―地中海航路の
出入り口にあたっている
このロケーションにより,
19世紀末には英,伊による植民地化がなされ,
第二次大戦後は,
北部がイギリスの保護領,
南部はイタリアの信託統治領となった。
1960年にそれぞれが独立しつつ統合するも,
内戦状態が続き,
1991年北部が分離・再独立を宣言して,
中央政府を欠く地域となった。

内戦による経済の疲弊はすさまじく,
世界最貧国となった。
大量の難民が発生する状況により,
各国からの援助頼みが続いている。
1993年,アメリカが内戦に介入し,
これ以降,米軍はゲリラとの闘争に貼り付けられた。

中央政府がない,ということは,
無政府状態であることを意味し,
それが各国による魚(マグロ)の乱獲や
ヨーロッパ企業による核廃棄物を含む
大量の廃棄物投下を促してきた。
魚の乱獲への自衛活動が
海賊のプロトタイプとなった。
2001年の「9.11」後,
当時ソマリアで唯一,インターネットを駆使し
国際電子取引を担っていた企業(バラカート社)を,
アメリカが,アルカイダとつるんでいるということで
閉鎖に追い込んだことが
“本当の”海賊への「成長」のきっかけとなった。
内戦状態のもと,多くの人たちは
海外へ出稼ぎに行ったが,
バラカートの閉鎖は,
送金ルートの消滅を意味した。
こうして内戦と飢餓に苦しむソマリア人民は,
海賊になるべくしてなった。

これが概略である。
(わが国では,こうした事情を知ってか知らずか,またもや「60日規定」が発動され,まもなく「海賊対策法案」が成立する)

ところで,こんな記事があった。
「ゲゲゲの鬼太郎 誕生40周年 公式記念貨幣」。
ツバル政府が発行する正真正銘の“法定貨幣”というのである。
ツバルは,
ソマリアと同じように,長い間イギリスの植民地だった。
ようやく1978年に
イギリス連邦の一員として独立したミニ国家で,
国際連合の最貧国リストに載っているという。
収入の多くは,海外の援助や出稼ぎ者の送金であり,
主要な産業は,漁業とある。

“法定貨幣”の売上げも,
一部は国家財政に組み入れられる。
知らなかったが,これまでも,
ツバルからは「銀河鉄道999」や「手塚治虫」など
多くの“公式記念貨幣”が発行されてきたらしい。
ITがらみでは,
正式国名Tuvaluに基づく
トップレベルドメイン名の ".tv"を
リースするというのもあるらしい。
アイデアマンがいるのだろう。

ソマリアの不幸に対して,
いかなる意味でも要衝ではありえないツバルの
“余裕”がなせるワザとでもいうべきなのかもしれない。

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