優れた表現者の条件2008年02月07日 23:09

きょうの朝日(朝刊)の2つの記事から。1つは「ひと」。「『憲法9条の思想水脈』で司馬遼太郎賞を受ける京都大教授」の山室信一が紹介されている。彼の「多くはない著書の大半が賞に輝く」が、「多くないのは」本人からすると、「大量の史料に突き動かされ、文章がほとばしるまでは、書けないから」ということになる。もう1つが「文化」面。昨年、詩集『求めない』でベストセラー作家となった加島祥造。「荒地」にも参加していたという彼の場合はこうだ。「詩を一冊の本にするのに5年かかる。詩も絵も高いエナジーが出てくるのを待たなければならない。待つ間も欲張らず、何日も無駄にする。芸術とは自分の無意識が出てくるものだから、思い通りにはならない」。しかし『求めない』は、わずか4か月で形になった。「求めない」と始まる言葉が、次々に言葉をつむぎだしたから。

要するに、ひとをとらえる言葉は誰かに憑依して私たちの知るところとなるということなのではないか。言葉がサクっと乗りうつれるだけの器をもつ、それが優れた表現者の条件ではないかということである。文章を作るのに、彼らはけっして苦労はしない。羨ましい限りである。

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