バグる、バグるデジタル製品の“組み込みソフト”2006年04月09日 22:19

朝日新聞の経済面(2006/04/09・13版 7面)に、いわゆる“組み込みソフト”のバグのことが取り上げられていた。世界的なブランド製品において、特定の機能をうけもつソフトのバグが頻発し、各メーカーが対応に苦慮しているという。自動車(エンジンがストップ)、テレビ(電源が切れない)の例が紹介されている。デジタル製品の場合、その開発コストの7割以上がソフト関連というのは良く知られている。工業製品はいまやintelligent goodsそのものということだ。そして最も重要な点は、そのこと自体がソフト化といわれることの実態にほかならないということである。ソフト化=脱工業製品ではなく、ソフト化=高度工業製品なのである。それはともかく、バグの猛威は「製品の高機能化に伴ってソフトが大規模かつ複雑になってきたため」であり「デジタル製品の寿命の短さ」が「ソフト開発を何とか間に合わせても、バグのテストまで手が回らない」ことが大きく与っているという点に注目すべきだろう。ここに現在の「情報資本主義」における高度工業(ハイパー工業)が逢着した現実があると思われるからだ。ソフトの開発、ソフトのチェックに膨大な人員を投入しなければならないのにそれが実現しえないという知識労働者不足の問題は深刻というべきだ。もちろん、こうした状況がもたらされたのは、製品の高機能化、多機能化という製品差別化が企業間競争をくぐり抜けるきわめて重要な手段とされてきたことの帰結、ということを見抜く必要がある。消費者には、時間をおかず繰り返されてきたメーカーによる製品機能の高度化、多様化が、自分が望み、表現したニーズがまさに実現されていると思い込まされてきた関係そのものに気づくことが求められている。デジタル化された製品について過剰なまでの機能の搭載は不用であり、不要なのだと自覚してもいい段階に至ったのである。ワンセグが、モバイルsuicaが、バグの脅威をさらに潜在させる。