ライブドア株、94円で幕の意味2006年04月14日 11:11

ライブドア株が、昨日(13日)、東証マザーズを上場廃止になった。最後の株価は94円。1月16日の夕方、東京地検の特捜が、証取法違反の疑いでライブドア本社の家宅捜査に入り、1週間後の23日深夜ホリエモンがとりあえず風説流布の疑いで逮捕されてからおよそ3ヶ月だった。マスコミの“主役”ないし“ターゲット”が、家宅捜査・ホリエモン逮捕後は、それまでの「ヒューザー(耐震強度偽装問題)」から完全に「ライブドア」に転換した。いまでは、「耐震強度偽装問題」隠しとして、ライブドア問題が浮上したのではないか、と見られたことさえ記憶にはなくなっているのが現実だ。ネット企業の寵児としてあれほどもてはやされた「ライブドア」は、2000年4月にマザーズに上場してからわずか6年で上場の「場」から消えた。日本経済新聞 06/04/14 14版 3面は、「株式市場での個人の投資行動に変化」が生じたと伝えている。「値動きに追随して売買する『回転売買』が減少」し「事業の成長性や財務の安定性を重視」するようになったという。いわば「健全化」したとの見方を示している。しかし、ことはそれほど単純なのだろうか。ムードで株に走った「個人投資家」が“目を覚ました”といえるのだろうか。ヒトの記憶はひじょうにあやうい。何らかの新興企業と目される企業が注目されれば再び投資対象としてブームとなるだろうことは目に見えているというべきだ。今朝、フジテレビの「とくダネ!」でも、ライブドア株94円で幕、を取り上げていた。そのなかで、上場廃止のごく標準的な形は、「1円」で最後の取引を終える。ライブドアの94円というのはきわめて珍しい。いいかえれば依然ライブドアに期待する投資家が少なくないことを意味しているのではないかというようなことが紹介されていた。これと関連して、コメンテータの一人は、ライブドアの名称は残るだろうと言っていたのが印象的だった。昨日の新聞報道(例えば朝日)では、ライブドア解体=ライブドア消滅か、という指摘がされていたが、そしてここまでイメージダウンした以上実態はともあれライブドアという名称を消して再出発する、というのが当然だ、という常識的な判断が考えられるが、そうではないということだ。いわばナショナルブランドとしてここまで浸透した「財産」を生かすことこそ市場原理にのっとったやり方だと。ここに、不祥事・「違法行為(とさしあたり見なされたこと)」に対する「市場原理」的対処法がある、とみていい。「利得・利益」に結びつく限り、全抹消の手はないのだと主張しているからである。これはある意味「手ごわい処方」というべきだろう。