きょうは憲法記念日2006年05月03日 11:26

きょうは「憲法記念日」。日本国憲法の施行は1947年。と、いうことは来年が還暦ということになる。還暦で盛大に取り上げる、というつもりなのか(と、皮肉の一つもいいたくなるが)、例えば日本経済新聞の朝刊は、不当なほどに無視しているように見える。

朝日は5面で「日本国憲法 本社調査から」の特集を載せている(Webでも)。そのなかで気になったのは、「若年層に目立つ改憲派」の中見出し。20代、30代で改憲派が60%を超えており、とくに30代女性が67%と突出している点。これはその中身と背景をきちんと分析すべき現象だと思われる。一般には、20代~40代の改憲派の改憲理由は「新しい権利や制度を盛り込むべきだから」を挙げるのが多数で、「憲法改正で新しい時代を切り開くといった意識は薄く」、基本のところは「現状にあわせて憲法を変えていきたいという気持ち」と朝日はまとめている。

とはいえ、全般的に若者の「憲法」に対する関心は高いとはいえないのが現状だ。この点について、河北新報は、東北での「九条の会」の広がりを取り上げた記事(「『改憲に待った』九条の会続々」)のなかで、「九条の会・北大」の呼び掛け人の一人の山口二郎の次のような談話を紹介している。「若者の関心が低いのは、憲法改正の意味や影響を認識できず、危機感が欠如しているため」という分析がそれ。しかし、実は、憲法改正の意味やその影響に関する認識のなさ、というよりも、憲法とは何か、憲法が「国家・権力」の暴走に歯止めをかけるものにほかならないという基本のところが認識されていない問題というべきではないのか。「新しい権利」を盛り込む、という発想の前に確認しておくべきことがあることを知る必要がある。昨日の新聞各紙は、「米軍再編にかんする最終合意」を大々的に取り上げ、また「水俣病の存在を政府が正式に認めて50年」を大きく報じた。米軍再編問題は、文字通り現在の国家(権力)の向かう方向がどこにあるのかを明白に示したし、水俣病問題も、戦後の経済復興とその後の高度成長に関わったチッソという企業と国家の関わりの問題に他ならない。憲法をきちんと理解し、現代国家を俎上に載せる作業は急務なのだ・・。