電子納税で税が控除・・2006年05月08日 19:11

政府は、2010年度には「税申告全体の半分を電子申告にする」と目論んでいた。しかしこの魂胆は完全に空回り状態にあり、05年度実績はわずかに0.4%にとどまった。これに業を煮やしたのか、電子申告・納税の場合、納入すべき税額を割り引くという「アメ」を用意することを検討し始めたという(日本経済新聞 2006/05/08 一面トップ) (Web版はこちら)。具体的には、「数千円の税額控除」ということのようだが、もちろん問題は少なくない。電子申告・納税は、インターネットで確定申告の手続きをし、ネット銀行から納税するということだが、まず、デジタルデバイドの問題がある。インターネットを使わない・使えない者にとっては差別となるだろう。また、実際には、電子申告・納税を行うためには、住民基本台帳カードを手に入れ(住基ネットに参加し)、かつ電子証明書も取得し、その上、数千円はかかるICカード読み取り機購入も必要となる。これらはもちろん見過ごせるようなこととはいえない。

周知のように、住基ネットは、2003年8月に本稼動したものの 住基カードの普及率はきわめて低い。それは手続き上、わずらわしいということや、現時点ではとくに必要性が感じられないといった理由もあるだろうが、結局のところ「国民監視装置」の機能を果たすことになるのではないか、との疑念があるからだと思われる。ということは納税に際して優遇策を講じることによってこのバリアをサクッと越えるのがほんとのネライとも解釈できよう。日経の記事には、韓国やフランスでは、円換算で1,200円から2,900円の税額控除によって実際に電子納税が普及し始めたとある。