規制緩和のもたらした光景・・2006年05月10日 00:26

あふれるタクシー(23時の仙台駅前)
客が来るまでじっと耐えるタクシー・・(^^;)。ある夜の仙台駅前タクシープール


「大都会でも地方でも、客待ちのタクシーがあふれている。 『30年間、この仕事をして子ども2人を育てた。今の収入では難しい』。ここ5年ほどで800台以上増えた全国有数の激戦地、仙台市の運転手の実感だ。」5月5日付の朝日新聞社説 の出だしがこうだった。昨夜仙台駅に行ったついでに様子を撮ってみた。ひと頃よりもタクシーの数が減ったように感じられる。とはいえ、客待ちのクルマの数は圧倒的だ。行き先が近場だったら遠慮してしまう迫力を放っている。2002年、タクシーの台数規制が緩和された。仙台市内では3割以上増えたといわれる。客(需要)は逆に減っている。過当競争の典型的モデルをしめす。仙台でとくに注目されるのが、業者の多くが固定給をはずした「完全歩合」を導入していることだ。乗客数が増えなくとも経営側にとっては打撃は軽い。乗務員(労働者)の給与を減らせばいいだけの話だからだ。むしろ、経営側はクルマの台数を増やし、形の上での売上げを伸ばすのが得策となる。少なくとも最近までは、タクシー乗務員が雇用のバッファとなってきたことが、こうした手法に目をつぶらせる背景だったこともあろう。いまや素人の乗務員が珍しくないというのは 先にエントリーした通り

仙台では、規制緩和(改正道路運送法施行)で、タクシー台数が増え、安全なサービスの提供が困難になったばかりでなく(事故の多発)、乗務員の給料低下や長時間労働、健康障害が発生しているとして、タクシー協会仙台地区総支部が、新規参入や増車の規制につながる「タク シー需給調整特区」(いわゆる逆特区)構想を提言したり(2004年)、タクシー会社7社の運転手(69人)が、規制緩和後に低下した収入相当分を国に求める訴訟を起こしたり(2005年)している。市場至上主義がもたらす問題は実に深刻だ。上記朝日の社説は、規制緩和のメリットをつぶさずに、とバランスをとっているが、決してそんな暢気なことではないというべきだろう・・。