ネットスーパーは現代版「御用聞き」か?2006年12月06日 22:49

今朝の朝日(13版・11頁・経済)。「ネットスーパー拡大中」の記事がのった (Webではこちら)。 スーパーにインターネットで注文すると、野菜や果物をはじめ様々のグッズを1つでも配達してくれるサービスが拡大普及 しているという内容。元祖ネットスーパーは西友。現在の会員9万人。扱う商品は生鮮や冷凍食品から日用品まで約3千点に のぼるという。記事では、イトーヨーカ堂のネットスーパー「アイワイネット」を利用している主婦が紹介されている。 「夕食後のゆっくりできる時間を見計らいパソコン画面を開」いて「特売のちらしを見るように次々と注文」する様子を取り 上げている。西友のあるマネージャーは、今後「働く女性や専業主婦、高齢者の利用が増えていく」と見ているという。

一読する限り、こうした見立てはもっともらしく思われるし、なるほど現代版「御用聞き」という気がしてくる。 しかし、本当にそうだろうか?まず、高齢者は依然としてデジタル・デバイドの典型例だ。パソコンにもケイタイにもよくな じんでいるのはごく一部に過ぎない。そもそも昔の御用聞きは、店(商人)と顧客(上得意)との結構濃密な人間関係を基盤に していた。お互いに相手のことを知っていた。だから気軽に「御用聞き」ができた。成立した。「ネットスーパー」はどうか? どうも、ちらしと電話で注文するのとほとんど違わないのではないかという疑念を覚える。「インターネット」という新しいメディア(一般の利用が可能になってまだ15年弱)の特性・機能とは無縁なところで使われているに過ぎないのではないか。「双方向性」「カスタマイゼーション」「オンデマンド」を活用した試みとは到底思えない。

ゆくゆくは 今とは違ったものになるのだろうか?上得意への御用聞き→大衆(マス)を相手にするスーパーマーケットの誕生→匿名での ショッピングの広がり→ネットスーパーを通した一応顔がわかる買い物へ、これがこれまでの流れ。

だとすれば、ネットスーパーに必要なのは、地元に根ざす店としての存在感だろう。店と客とのコミュニケーションが不可欠でもある。もちろん「地産地消」とか「身土不二 =体と土とは一つである」と か、あるいは「四里四方に病なし」と言ったことを具体化する工夫があれば「ネット時代の御用聞き」と呼べないこともない。とくに「御用聞き」がマニュアル世界とは縁がなければね・・。