“巣ごもる20代”とか・・。2007年08月22日 21:02

きょうの日経MJに興味をそそる記事が出ている。「MJ若者意識調査」。そのリード文。「車は不要。モノはそれほど欲しくない。お酒もあまり飲まない。行動半径は狭く、休日は自宅で掃除や洗濯にいそしむ。増えていくのは貯金だけ」。MJというのはMarketing Journal のことだから、こうした若者の意識の変化に対して「彼らの消費意欲を喚起する手だてはあるのか」という視点からアプローチしているのはやむをえない。

しかし、マーケティングを離れて、「現代の若者を読む」という意味で言っても非常に面白いテクストというべきだろう。例えば先月、昨今の若者が、モノとしてのクルマに対する欲望が希薄になってクルマが売れないらしいというのをエントリーした。日経MJによれば、クルマへのニーズが後退したのは、「支出額」が大きすぎるからとのことである。これだと、ごく当たり前の解釈で解けてしまうが、他方で「酒も飲まず」、「休日は外にも出ず」というのとセットにしてみると、「個」というミクロコスモスにこもる若者のイメージが前面に浮かび上がる。これまでは、大量輸送機関から、いわば他者との関わりを断つ回路としてクルマに転じるというようなことが語られてきたが、その徹底ともいうべき動きが「動かない個」「行動しない個」にまで到達したかのようだ。「増えるのは貯金だけ」というが、貯蓄の具体的形態が何かまでは説明されていないが(預金なのか、株という金融資産なのか、はたまたこれらとも違う何かなのか)、通帳もしくは画面に現れた純粋抽象としての数字を前に自分の世界に没入する若者の図、というのはいかにも不気味というほかない・・。