大学4年生(内定者)を“拉致”する日本の企業2006年12月04日 22:28

本日発売の『週刊東洋経済』。慶大の池尾和人がコラム「経済を見る眼」で日本の企業を叱っている。 日本の企業は大学教育をなんと心得ているのか?!と。それは10月2日の月曜日に、多くの企業が 内定式を実施したことに疑問を呈したものだ。大学では、講義があり、ゼミがあるというのを承知 の上で、企業は内定者を強制的に召集した。実にけしからん話ではないか、と。しかも大分前から 日本の大学生は「就職活動を優先して・・4年次の授業を大量に放棄している」のが常態化している のも周知の事実だ。日本の企業はいまだに「地頭」主義にこだわっているのか?。つまり、 採用する人間は「筋がよければ」、「頭がよければ」いいのであり、下手に大学教育の色がつかない 方が好ましい。基本的には、採用してから「自社に都合のいいように鍛え上げる」と言っているのか と。

もちろん、近時の日本の企業は、採用した人材を育成する力を喪失しつつ あることも見逃しえない。先日(10月27日)の朝日新聞は、住友信託銀行が、内定者 の中から何人かを選抜して、4月の入社までに、不動産鑑定士や年金数理人(アクチュアリー)などの 資格を取得するのを支援する制度を導入したことを報じた。支援は、内定選抜者が「予備校」に通って勉強するの を金銭的にサポートすることを指す。

ということは、日本の企業が、大学の教育を “シカト”するという、池尾が指摘したことばかりではなく、内定者を“拉致”した上で、それを 自ら何とかするのではなく、その教育を「予備校」に委ねてしまうというもう1つの問題が加わること を意味する。大学教育にたいする評価が落ちるところまで落ちたということになるが、それは同時に 日本企業も落ちるところまで落ちたこととシンクロしているのである。「評価」する企業の 民度のことを考えれば、大学への「評価」が落ちるのは別に問題ではないが(本来のあるべき大学教育との落差が問われればマジで考えねばならないが)、こうした状況を前に 何の動きも示さない、示し得ない学生しかいないという問題こそ大学にとって実に深刻だと識るべき であろう。大学は何を教育してきたのか、と。

そういえば、一昨日の「合同ゼミ」でも、4年生 が数人、企業に拉致されて参加しなかった・・。

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