首都大学東京で「独創性」が引きだせるか? ― 2006年05月30日 22:00
西沢潤一・現首都大学東京学長。半導体、光通信の研究では世界的レベルの研究を修める。しかし、いわゆる文化人とか知識人というイメージからは遠い。妙に軽い人生訓や愛国心についての信条をすぐ披瀝してしまうからだろう。
その西沢潤一が、日経新聞が昨日から始めた企画「日本を磨く」の第2回目に(5月30日 一面)登場している。「日本の競争力向上には何か必要か」と問われ、次のように答えている。「独創的な科学技術を振興し、これを担う独創的な人材を育てる」ことだと。なぜなら「国際競争力のある工業製品を生み出すことが、絶対的な国力の源泉となる」から。しかし、この国では「独創的な研究に資金が回る仕組みがまだできていない」のが問題であり、そもそも「国内には独創性を尊ぶ気風が乏しい」し「研究開発というオリジナリティーが最も重要な世界で横並び主義がまん延し、独創の芽をつぶしている」のではないか、と。
そして想いは戦前へとワープする。「戦前の方がまだ見るべき成果があった」「だれもがやったことのない研究をするのが大学人の得意とするところだった」。だから独立法人化した国立大学では「それぞれの強みや個性を生かすことが重要」と知るべきだし、「そのためには平等主義を脱し、エリート教育を復活させるべきだ。戦前の旧制高等学校は、個性をはぐくむ仕組みとして今後のモデル」となりうる。そして「十六歳くらいで暗記中心の勉強から解放し、幅広い知識と理解・思考力を身につけさせる」ことに意を注ぐべきではないか、と。
一様にやる気を感じさせないいまの学生の現実を前にすれば、「脱平等主義やエリート教育復活」という主張についなびいてしまいそうだが、もちろん、やる気のない、体制順応・体制肯定、クリエイティブであることから程遠い今の学生たちを生み出したのは、ジャパン・アズ・ナンバーワンとまでいわれるに至ったかつての日本の国際競争力の強さがもたらした「経済拡大路線・高度消費社会」だった、ということはおさえておく必要がある。
また、独創性を発揮し、これを過不足なく評価する態勢は、もはや目の前の結果を追うことのみが最優先される「独立法人大学」では無理だということも認識しておくべきだろう。首都大学東京もその例外ではあるまい。独創性は、ムダの存在を許し、繰り返し失敗することを受容するまことにおおらかな環境においてこそ培われるのだから。せいぜい10年周期の景気循環に対応するような「独創性」ではなく射程のうーんと大きい独創性に至っては推してしるべし・・。
その西沢潤一が、日経新聞が昨日から始めた企画「日本を磨く」の第2回目に(5月30日 一面)登場している。「日本の競争力向上には何か必要か」と問われ、次のように答えている。「独創的な科学技術を振興し、これを担う独創的な人材を育てる」ことだと。なぜなら「国際競争力のある工業製品を生み出すことが、絶対的な国力の源泉となる」から。しかし、この国では「独創的な研究に資金が回る仕組みがまだできていない」のが問題であり、そもそも「国内には独創性を尊ぶ気風が乏しい」し「研究開発というオリジナリティーが最も重要な世界で横並び主義がまん延し、独創の芽をつぶしている」のではないか、と。
そして想いは戦前へとワープする。「戦前の方がまだ見るべき成果があった」「だれもがやったことのない研究をするのが大学人の得意とするところだった」。だから独立法人化した国立大学では「それぞれの強みや個性を生かすことが重要」と知るべきだし、「そのためには平等主義を脱し、エリート教育を復活させるべきだ。戦前の旧制高等学校は、個性をはぐくむ仕組みとして今後のモデル」となりうる。そして「十六歳くらいで暗記中心の勉強から解放し、幅広い知識と理解・思考力を身につけさせる」ことに意を注ぐべきではないか、と。
一様にやる気を感じさせないいまの学生の現実を前にすれば、「脱平等主義やエリート教育復活」という主張についなびいてしまいそうだが、もちろん、やる気のない、体制順応・体制肯定、クリエイティブであることから程遠い今の学生たちを生み出したのは、ジャパン・アズ・ナンバーワンとまでいわれるに至ったかつての日本の国際競争力の強さがもたらした「経済拡大路線・高度消費社会」だった、ということはおさえておく必要がある。
また、独創性を発揮し、これを過不足なく評価する態勢は、もはや目の前の結果を追うことのみが最優先される「独立法人大学」では無理だということも認識しておくべきだろう。首都大学東京もその例外ではあるまい。独創性は、ムダの存在を許し、繰り返し失敗することを受容するまことにおおらかな環境においてこそ培われるのだから。せいぜい10年周期の景気循環に対応するような「独創性」ではなく射程のうーんと大きい独創性に至っては推してしるべし・・。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://g-village.asablo.jp/blog/2006/05/30/386688/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。