ワーキングプア2006年07月23日 23:41

NHKスペシャル、きょうは「ワーキングプア」を取り上げていた。(番組紹介動画はこちら)。働いても、働いても生活をまっとうできない「働く貧困層」の実態とその背景を抉った番組。民放では、このような番組を電波にのせることはほとんど無理だろう(可能だとしても、恐らく深夜の時間帯でしかやれないはず)。それほどに深刻で、重い内容だった。大都会ばかりではなく、地方の田園地帯でも次々にこうした階層が増えている、というのが非常に衝撃的だ。かつての“食う事だけは”なんとか確保されるという農村、ここも現在では「ワーキングプア」が堆積される場となっている事実。

身を粉にして働いてなお年収200万円台。あるいは今年の1月から4月まで“仕事をして得た収入”がたった1万円、という洋服仕立業”を「自営」する例も。20年前には、職人2人を雇い、年に100着の洋服を仕立てたこともあった、というから、仕立ての腕、やる気に問題はないケースだ。つまり、個人の問題、努力不足など、よくぶつけられる凡庸な批判、紋切り型の現状肯定にたった言い分はあまりにも脆弱で観念的な発想ということになる。

番組最後にキャスターが言う。「ワーキングプアは、もはや個人の責任の問題ではなく、社会の責任の問題と認識すべきだ」。就業者の3人に1人が非正規雇用状態を生み出した企業、ワーキングプアの数(実態)さえ把握しようとしない行政機関。確かに、企業の姿勢を問い、行政のあり方に疑問を投げかけることが最低限必要という意味も含めてまさに「社会の問題」というべきであろう。