格差社会のこと2006年02月16日 09:04

所得格差の大きさを表す「ジニ係数」は扱い要注意、とは以前から言われてきたことだ。先月(1月23日)、民主党の前原が衆院代表質問で、小泉改革の下での所得格差の拡大を問題にした。これに対し小泉は「統計データからは、所得格差の拡大は、確認されない」と切り返した。今日の朝刊(河北新報)で、この問題を佐藤俊樹(比較社会学)が時論のなかで取り上げていた。「格差拡大」と「見かけの問題」の議論に黒白をつけるのは確かに困難だ、と指摘する。「世帯の姿が変わると、貧富の差の数値も変わってしまう」からだ。例えば、これまでは同居していた家族が別に住むようになれば、世帯が分散して、一世帯当たりの収入や資産は減少するのは確かだから、という。つまり、ジニ係数をいじり回すことにさしたる意味はないのではないかということだ。佐藤の次のような結びの文章が妙に納得的にひびく。「数字の向こうにある現実の生活を想像できない貧しさ。自分に都合の悪い話を聞けない貧しさ。そんな『心の貧しさ』の方が、数字が示す『モノの貧しさ』より、本当は深刻なのかもしれない。」小泉にも、前原にもまったくよく当てはまることばではないか。

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