たかが野球、されど広がる不審―WBC、「疑惑の判定」2006年03月14日 10:02

WBCの対USA戦で「王ジャパン」がサヨナラ負け。それも主審が判定をくつがえしたことが少なからず大きな意味をもつ格好で。同点で迎えた8回、一死満塁の「王ジャパン」。岩村のレフトフライで三塁走者西岡がタッチアップ。レフトからの送球が三塁側に大きくそれる間に、西岡が本塁を駆け抜けた。「王ジャパン」勝ち越し、と思ったのも束の間、アメリカの監督の抗議(三塁走者の離塁が早かった)が通り、アウトとなった。幻の1点。当然「たかが野球」の域を超えた反応が沸騰した。とくに様子がビデオで確認できるテレビ・メディアの反応は早かった。「反米」の感情を煽り立てる様相がはっきりわかる。そして「反米感情」は、例えば牛肉輸入再開についても連動する勢いだ。折から、香港では、輸入禁止になっている骨肉問題 が生じた。輸出元が日本政府が「安全」といわば保証した企業だというから「感情」はさらに加熱するだろう。しかも米国内で3例目のBSE牛発生 の報道が追い討ちをかける。と、言う具合に、結局「ナショナリズム」すくなくとも「プチ・ナショナリズム」の問題へと転化する問題のような様相を呈し始めた。しかし、例えばニューヨークタイムスには「A - Rod, Questionable Call Save U.S.」(サヨナラのタイムリーを打ったロッドと疑惑の判定がアメリカを救った)というような、記事が出ている。ジャパンよりもまだましなUSAということか。とはいえ、もともと「たかが野球」でえこひいき的ジャッジをすんなり下した問題、という意味でアメリカとは何かを再考してみる契機となった「事件」であることも確かだ。